側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。

とうや

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やられたらやり返すのがシーグローブ流でございます

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産後十日もすれば起き上がって簡単な仕事を始めるようになりました。双子のお世話はフルサポートですが、わたくし、出来る限り乳を吸わせております。可愛い可愛いわたくしたちの子供。子供。酷い母親だという自覚はございますから、出来るだけ良い母を演じようと思います。

わたくしの元に、私兵の呪術師にお願いしていた物が届きました。そしてその日に陛下から晩餐の誘いがございました。使者の言付けからして誘うというより命令ですね。


「あらあら、まあ……ではパティ?姿にしてちょうだい?」

「………かしこまりました…」


まあ、パティ。すっごく嫌そうですわね。侍女たちもとても嫌そうにしていましたが、オフショルダーのラベンダー色のマーメイドドレスで、お胸にこれでもか!とパッドを入れて谷間を強調してくださいました。ええ、そうです。谷間です!わたくし、双子を産んで前世で言うと2カップほどバストアップしたのですよ!!そして今、パッドを重ねに重ねておりますのでプラス2カップ、合計4カッププラス!素晴らしいですわ!

食堂に入ったわたくしを見て、陛下はお胸を見てニヤニヤし、王妃様は頑張った子供を見るようにニコニコと微笑み、シャーロット様は怪訝な顔をして、セオドア様は……ええ、微笑んでいらっしゃいますが「偽乳だね?」とわたくしを笑ってらっしゃるのねチクショウ。……あら、お言葉が乱れましたわ、ホホホ。

食事はなんというか、わたくしとセオドア様、シャーロット様のお皿には庭師のトマスが言った『食っちゃなんねえ』ハーブが盛りだくさんでございました。主に興奮作用の。お酒にも何か入っているらしく、わたくしのイヤイヤセンサーが鳴りっぱなしです。というか授乳期のお酒はいけないんですのよ!?

でもわたくしには新兵器がございますの。てれれってれー。『呪術師グレイの超強力状態異常無効アミュレット』です!わたくしの懐妊の際には呪い返しアミュレットを作ってくれた私兵のグレイですが、今回は鬼哭丸から素材を分けてもらったとかで、素敵な出産祝いを贈ってくれました。「あと4つ欲しいです」とおねだりしたところ、物理攻撃毒無効だけなら、と。

わたくし、今日の晩餐はその超強力状態異常無効アミュレットをこっそり装着しております。王家の影さん経由でセオドア様にも渡しましたが付けてらっしゃるでしょうか。

わたくしがモリモリといけないハーブを平らげていくと、王妃様は慌てたように青くなりました。わたくしが目線だけで『大丈夫です』と伝えるとソワソワしながらも食事を再開されました。

デザートに入るとシャーロット様の目がトロンと蕩け始めます。そして陛下のお顔も赤くなり始めております。

……ええ、そうです。わたくし、お城の厨房は掌握済みでございます。側妃宮できっちり洗脳…いえ、教育したスタッフを研修と称して送り込み続け、人員を入れ替え続けた甲斐がありました。その要領でお城の侍女や下働きメイドたちも掌握済みでございます。

陛下のワインにもいただきました。




わたくしはシーグローブの娘。やられたらやり返すのがシーグローブ流でございます。






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