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あらあら、まあ…最近ご飯が美味しいと思ったら
しおりを挟む「おめでとうございます。側妃様のお腹にお子が宿っておられます」
軍部の一斉粛清が終わり、新体制が始まった頃。月に一度の宮廷医の検診で告げられました。あらあら、まあまあ……最近ご飯が美味しいと思ったら。相変わらずぺったんこのお腹ですが、子供がいるそうです。不思議ですね。
「エ、エ……エマ様のっ…!お子様…!!あの男の種だと思うと業腹ですが大丈夫ですきっと絶対愛せますエマ様の子供エマ様の子供エマ様の子供エマ様の子供ああわたくしなんて呼んでいただきましょうパティおばあちゃん?それともパティおばちゃん?お姉ちゃん…は違いますわねああああどうしましょうどうしましょう」
パティが感極まっております。パティにとっては孫みたいなものでしょうか?でもパティ?あなたまだギリギリ20代でしょう?おばあちゃんになるのは早すぎてよ?
「体を冷やさぬよう、消化に良いものを召し上がってください」
「はい先生、ありがとうございます」
わたくしが立ち上がるとハッとしたようにパティがわたくしを支えました。
「おおおおお…お待ちください!お嬢様!だめです!!立ってはなりません!安静に!安静に!!ケイレブ!ケイレブを呼んで参りますから!!」
前世で妊娠は病気ではないと聞いていたのですが?というか、本人よりパティがパニックになっていますわね。
わたくしはケイレブに横抱きにされて長い長い廊下を進み、側妃宮に帰ります。わたくしの懐妊は口止めもしておりません。都合が良いのです。
……はあ、わたくし、いつからこんなに悪い子になったのでしょう。
わたくしの懐妊の情報は瞬く間に広がりました。
セオドア様の「そう、頑張って」という、そっけない言葉は側妃宮の侍女たちは大激怒させ。シャーロット様は「アンタが妊娠するとか嘘だ!相手は誰だ」とわたくしに詰め寄り護衛に摘み出され。陛下はわたくしを執務室に呼び出して、ニヤニヤしながら全身を舐めるように眺め回してくださいました。このク……いいえ、排泄物め、ですわ。王妃様は側妃宮までいらっしゃり、お祝いと労いのお言葉をくださいました。このお方を騙していると、わたくしのなけなしの良心がチクチクいたしますわ。
側妃宮にはお父様からの物資が続々と運び込まれます。わたくしの私兵からの物資も混じっていました。超強力解毒薬とか、遺跡級呪い返しのアミュレットとか、得体の知れない犬(???)の置物とか…。
そして一番わたくしの度肝を抜いたのは、私兵自身がやってきたことです。
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