7 / 11
ラスボスが現れた
しおりを挟むラスボスが現れた!
……いや、うん…公爵令嬢なんだけどね?
卒業パーティーまでの間に何故かお茶してます。気まずいです。だってさあ?このお姫様が俺を捨てろって言ったからクソ王太子が俺をポイしちゃった訳で。
まあね、お姫様正しいよ?だってあのままだったらいずれ俺、王太子に尻を差し出しただろうし。政略結婚って言っても、男の性欲処理係侍らせてるとか爆弾抱えてるのと同じだよね。
丸いテーブルの上に、可愛らしい砂糖菓子と紅茶が乗っている。……ごめんお姫様。俺、前世からコーヒー派なんだ。しかも甘いもの苦手なんだ。母親似のこんな顔してるけど、好物はガッツリ肉の入ったサンドイッチだ。
「……それで?側近に戻って頂けるの?」
麗しの公爵令嬢はにっこり笑った。あー、顔だけ見れば優しそうなんだけどなあ。優しいだけで落ち目の王太子の婚約者なんかやってらんないよなあ。
「無理です。もう愛想が尽きました。ウィステリア・マクラーレンは死んだものと思ってください。ここに居るのは平民ウィステリアです」
「あら…まあ……」
俺の歯に衣着せぬ物言いに怒る風でもなく、公爵令嬢はホウ…と溜息を吐いた。
「困りましたわ。だって貴方を失った殿下、あまりに使えないのですもの」
おっとこちらもストレートに来たな。
「ねえ?何も愛人に戻れとは言わないわ。側近としてあの方を管理してくださるだけでいいの」
「無理です」
「貴方の夫と一緒でいいわ。爵位も与えましょう」
「俺はもうすぐこの国を出ます。爵位は要りません」
「………出国許可を取り消してもいいのよ?」
あー…やっぱり脅してきたか。平民って辛いなあ…。平民じゃなくても、彼女に逆らえるのは国王陛下くらいのものだろうけど。
「お断りします。私はどんな手段を以ってしても彼を私の国に連れて行きます」
旦那が参戦。テーブルの下では俺の手をギュッて握ってくれてる。ああ~、良い旦那だなあ。ひねくれまくった俺には勿体無いくらいの。勿体ないって謙遜するけど、でもだからってコイツと結婚したいって女が現れたって離婚はしない。ジョゼの妻の座は俺のもんだ。死守する。
「……そう。仕方ないわね?わたくしもジョセフ殿下には睨まれたくないわ」
「……?」
ジョセフ?殿下?
旦那の顔を見ると……わあこっわ!なんかめっちゃ怒ってる!?そんなジョゼのブスくれ顔もどこ吹く風で、公爵令嬢は紅茶のカップを唇に付けた。
「……はあ。わたくしも見切りを付けなくてはなりませんわね?」
397
お気に入りに追加
3,778
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約破棄したのに幼馴染の執着がちょっと尋常じゃなかった。
天城
BL
子供の頃、天使のように可愛かった第三王子のハロルド。しかし今は令嬢達に熱い視線を向けられる美青年に成長していた。
成績優秀、眉目秀麗、騎士団の演習では負けなしの完璧な王子の姿が今のハロルドの現実だった。
まだ少女のように可愛かったころに求婚され、婚約した幼馴染のギルバートに申し訳なくなったハロルドは、婚約破棄を決意する。
黒髪黒目の無口な幼馴染(攻め)×金髪青瞳美形第三王子(受け)。前後編の2話完結。番外編を不定期更新中。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
αなのに、αの親友とできてしまった話。
おはぎ
BL
何となく気持ち悪さが続いた大学生の市ヶ谷 春。
嫌な予感を感じながらも、恐る恐る妊娠検査薬の表示を覗き込んだら、できてました。
魔が差して、1度寝ただけ、それだけだったはずの親友のα、葛城 海斗との間にできてしまっていたらしい。
だけれど、春はαだった。
オメガバースです。苦手な人は注意。
α×α
誤字脱字多いかと思われますが、すみません。
嫌われ者の僕はひっそりと暮らしたい
りまり
BL
僕のいる世界は男性でも妊娠することのできる世界で、僕の婚約者は公爵家の嫡男です。
この世界は魔法の使えるファンタジーのようなところでもちろん魔物もいれば妖精や精霊もいるんだ。
僕の婚約者はそれはそれは見目麗しい青年、それだけじゃなくすごく頭も良いし剣術に魔法になんでもそつなくこなせる凄い人でだからと言って平民を見下すことなくわからないところは教えてあげられる優しさを持っている。
本当に僕にはもったいない人なんだ。
どんなに努力しても成果が伴わない僕に呆れてしまったのか、最近は平民の中でも特に優秀な人と一緒にいる所を見るようになって、周りからもお似合いの夫婦だと言われるようになっていった。その一方で僕の評価はかなり厳しく彼が可哀そうだと言う声が聞こえてくるようにもなった。
彼から言われたわけでもないが、あの二人を見ていれば恋愛関係にあるのぐらいわかる。彼に迷惑をかけたくないので、卒業したら結婚する予定だったけど両親に今の状況を話て婚約を白紙にしてもらえるように頼んだ。
答えは聞かなくてもわかる婚約が解消され、僕は学校を卒業したら辺境伯にいる叔父の元に旅立つことになっている。
後少しだけあなたを……あなたの姿を目に焼き付けて辺境伯領に行きたい。
【本編完結】断罪される度に強くなる男は、いい加減転生を仕舞いたい
雷尾
BL
目の前には金髪碧眼の美形王太子と、隣には桃色の髪に水色の目を持つ美少年が生まれたてのバンビのように震えている。
延々と繰り返される婚約破棄。主人公は何回ループさせられたら気が済むのだろうか。一応完結ですが気が向いたら番外編追加予定です。
転生したら同性の婚約者に毛嫌いされていた俺の話
鳴海
BL
前世を思い出した俺には、驚くことに同性の婚約者がいた。
この世界では同性同士での恋愛や結婚は普通に認められていて、なんと出産だってできるという。
俺は婚約者に毛嫌いされているけれど、それは前世を思い出す前の俺の性格が最悪だったからだ。
我儘で傲慢な俺は、学園でも嫌われ者。
そんな主人公が前世を思い出したことで自分の行動を反省し、行動を改め、友達を作り、婚約者とも仲直りして愛されて幸せになるまでの話。
俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします
椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう!
こうして俺は逃亡することに決めた。
ナイトプールが出会いの場だと知らずに友達に連れてこられた地味な大学生がド派手な美しい男にナンパされて口説かれる話
ゆなな
BL
高級ホテルのナイトプールが出会いの場だと知らずに大学の友達に連れて来れられた平凡な大学生海斗。
海斗はその場で自分が浮いていることに気が付き帰ろうとしたが、見たことがないくらい美しい男に声を掛けられる。
夏の夜のプールで甘くかき口説かれた海斗は、これが美しい男の一夜の気まぐれだとわかっていても夢中にならずにはいられなかった。
ホテルに宿泊していた男に流れるように部屋に連れ込まれた海斗。
翌朝逃げるようにホテルの部屋を出た海斗はようやく男の驚くべき正体に気が付き、目を瞠った……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる