転生したらビッチ悪役令息だったので

28.5

やっとクリスの体が俺を受け入れてくれた。

もっと愛し合いたかったのだが、クリスの体を考えてペニスを引き抜いた。お互い汗だくだ。ころりと横になるクリスの、額に張り付いた髪を避けてやる。

クリスじゃないクリスに、何度か誘われた事もあった。他の男に抱かれるクリスに混ざれと命じられた事もあった。………全て断った。断ってよかったと思う…。

あんな悍ましいモノと通じなくて良かった。

お互いに初めてのようなものだ。けれど、たどたどしいセックスでも。アレのようにクリスが快よがり狂わなくても。戸惑いながらも。

クリスは気持ちいい、と泣いてくれた。

その体の奥底には、きっとまだ沢山の傷があるのだろう。それが膿み、腐りかけていても。ゆっくりと2人で癒やしていければいいと思う。


「……ねえ、エル兄…」


眠ったと思ったクリスが、おずおずと俺の手に触れた。


「…俺…まだ大丈夫、だよ…？……その…ね？」


もじもじと。恥じらうクリスが、目眩を引き起こすほど可愛い…！


「もいっかい…しよ…？」

「………っ」


乱暴に襲いかかってしまいそうな自分を、理性を総動員して抑える。怯えさせないように、ゆっくりと覆い被さるとクリスは恥ずかしそうに頬を染めた。






「エル兄…大好き……」