【異世界大量転生5終】辺境伯次男は鬱展開を全力で回避する

暁の城からの元嫁襲来

暁の城と謳われたドーン王城。陽が登るとドーンの城は朝日を背負ってるみたいに輝くからそう謳われたんだけど、今は見る影もない。衛兵や使用人もまばら。あー…、マクシミリアンの親衛隊が一番まともな顔してるわ。まあこいつら、マクシミリアンが物心ついた時からの護衛だし。元々は隣国の姫君の近衛の精鋭だったって聞いたし。

ニッコニコで俺を北天宮 ーーー 第一王子のテリトリーに案内するマクシミリアン。そうだね、嬉しいよね。俺たちがホイホイ招かれたってことは、ドーン国内の勢力図が変わるってことだ。今まで隣国の姫君の息子でありながら、隣国の血が流れるが故に冷遇され、王位継承権も三位にされてたマクシミリアン。

ブレイブリー・ドーンではマクシミリアンは隣国に渡り、隣国のバックアップの元、ドーン王太子エグバードと血で血を洗う継承戦争をぶちかました挙句、暗殺依頼を受けた冒険者プレーヤーに殺される。……ま、俺は『断る』を選んじゃったから動画でしか結末を知らない。依頼料は(王族のくせに)雀の涙ほどだったし、受けたら最後リタイアしたってカルマ値下がるし、虐げられてたマクシミリアンの方が殺されるとかいう鬱展開だし、とことん人気のないサイドストーリーだった。積極的にカルマを下げたい暗殺者とか黒社会のボスとかのロール職は受けてたけど。因みに俺はカルマ値は10前後をうろうろしてた。馬鹿という名の超善人は100で、社会不適合者サイコパスは-100だ。

ストーリー通りに進めたい『あの女』には頭の痛くなるような展開だろう。

だってマクシミリアンが頼ったのは隣国じゃなくてナイトレイうちだし。戦争なんか起こさなくたってもうドーンはボロボロだ。ハハッ、ざまあ。

そんなことをつらつら考えて歩いてたら北天宮の貴賓室に到着。うん。古い。ボロい。でもまあちゃんと掃除はされてる。お茶もメイドさんに丁寧に淹れてもらったし。うーん、良い匂い。高級品じゃなくてもちゃんと淹れると違うよね～。

そう思いながらカップに口を付け……


「グレン！！！」


「「「「「…………………………」」」」」




元嫁の乱入に部屋の空気が凍りついた。