137 / 153
第一王子襲来からの「みぃつけたぁ」
しおりを挟むドーン王国第一王子マクシミリアン襲来。飯食いにきた。
う…うん。良いよ?だってジュゼッタ嬢を迎えに行ってくれない?ってお願いしたの俺だし。第一王子の馬車だったら現状国王しか止められないしね?
でもさあ、飯作るの厨房で眺めるのやめてくれる?
「良いじゃないですか?従兄弟殿が私にために料理をしてくださるのを見れるなんて……まるで新婚のようですね」
やめろ違うし!見ろよ兄ちゃんの機嫌が降下中だ。
「お前の従兄弟は私であってグレンは赤の他人だ」
こっわ!このロイヤルバトルこっわ!!なんでそんなに好戦的なの!見ろよ!?兄ちゃんの不機嫌魔力に当てられて厨房スタッフがどんどん脱落だ。もう料理長しか残ってねえ…。
もういいめんどくさい。ここで食わせよう。ダリルに椅子持ってきてってお願いする。俺設計バーチェアーだ。カウンターもある!黒ユニコーンの革張りでカッコいいだろ!それなのに異世界人はこの椅子の良さをわかってくれない。足がプラプラするから落ち着かないらしいよ。
だいたいの下拵えも終わったし、気分の悪そうな料理長も早上がりしてもらう。おもてなししながらちょっと込み入った話もするしね?
まずは前菜とスープ。クリームチーズ豆腐と具たっぷりスープ。え?それが王子に出す物かって?良いんだよ俺の食いたいもんしか出さねえ。美味いし簡単だし、飲みながら出せるもんしか作らねえ(キリッ)
まあ兄ちゃんは俺の庶民料理は慣れてるし、マクシミリアンは15くらいまで後宮で虐められて過ごしたんだっけ?どんな飯でも美味いって言ってくれる作り甲斐のない奴だ。
前菜から全力で飲ませる。めんどくさいからレイとアルヴィンが帰ってくる前に潰れて寝ろ。
鮭のタルタル。枝豆塩蒸し。スイートバジルのカプレーゼ。枝豆を手で剥いて食べるの面白がるな坊ちゃんめ。
デビルレイクブリ大根。ミノタウロスタンシチュー。つまみばっかとか言うなつまみしか作らねえ。あー、我ながらタンシチューはよく出来た!うめえ。
「なあマクシミリアン、最近国王さんどうよ?」
ドーン王国国王セドリックはピオ母ちゃんの弟だ。つい最近まで母ちゃんと文通してたみたいなんだけど、雪祭りぐらいからパッタリと何も言って来なくなった。
「それがですねえ……まあ、あまり言いたくないのですが…公爵夫人と寝室に籠ったまま出てこないんですよ」
「……………………は?」
え?ええ???正妃とか側妃やら愛人じゃなくって公爵夫人???
「伯母上か?」
「ええ、ランチェスター公爵夫人ヘレナ。陛下の実の妹で、グレイス・ランチェスターの母親です」
ええ~……。
マーガレット ーーー グレイスのお母さんは一度しか会ったことがない。三十路超えてるらしいけど中学生くらいにしか見えなかったなあ…。
………んん…?あれえ~?じゃあなにか?ドーン国王、自分の妹とアレな関係なわけ?王太子といい、近親ロリコンサラブレッドかよ。
「…………」
んー…何か引っ掛かる。ああ、そうだ。『ブレイブリー・ドーン』のサイドストーリーで『ジェラルド』が死ぬイベントだ。
『ナイトレイ辺境伯ジェラルドが急死し、王太子妃マーガレットの産んだグレン・ナイトレイの子供がナイトレイ辺境伯領の当主となる』
『ブレイブリー・ドーン』ではその説明しかなかった。そのせいでナイトレイ領は魔王領から魔物が溢れ出し、勇者アルヴィンと冒険者たちが駆り出される。
死ななかった聖者グレン、産まれなかったグレンの子、グレイスになったマーガレット、ナイトレイ独立、頻発するスタンピード、勇者称号を剥奪されたアルヴィン、ジェラルドの死の予定、王太子を降ろされない第二王子……。
………………………………………………………ふぅん?
「……あっは!みぃつけたぁ♡」
思わず口の端が上がっちゃう。兄ちゃんとマクシミリアンがドン引きだ。えっ?そんなに怖い?俺の笑顔?
「兄ちゃん、元嫁に会っていいかな?」
応援ありがとうございます!
24
お気に入りに追加
3,401
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる