上 下
112 / 153

いってらっしゃいからの痛み

しおりを挟む


行きたくないとグズる元勇者パーティーを《奈落》に任せてダンジョンに突っ込んだ。


「また俺だけ遠征!?グレンと最近ないのに!?また!?」


最近忙しすぎてないのは嫁全員だ。がんばれ物理担当嫁。


「うぅ…ドランさんと離れたくない…」


黙れ筋肉。すね毛同士が絡まって取れなくなる呪いでもかけられたいのか。


「まだミュゲと一線を超えてないのに……死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない…(ブツブツ)」


うん…えーと、ご褒美用意しとくから生きろ。


「原稿持っていっていい?今、頭の中でカズ×グレが大爆発してるの!!」


あー…持っていきなさい持っていきなさい。ブレないねミナちゃん。




アルヴィンにいってらっしゃいのチューして、ダリルと一緒に転移で屋敷に帰る。

何周目で《超越者リミットブレイカー》到達するかなあ…。アルヴィンはすでに《到達者カウントストップ》だからもうすぐの気がするんだけど。

色々考えながら廊下を歩いていく。


ズキッと下っ腹に痛みが走った。


「………っ…!!」

「グレン様!?」


い…痛った……!いたたたた…!!

腹を抱えてしゃがみ込む。


痛い!!


ヤバイヤバイヤバイ。油断してた。


座り込んだ足元に血の染みが広がり始める。あー……腹に食い付かれたのか。下っ腹がガッツリ喰われて穴が空いてる。魔力だけじゃなくて肉まで食うのか。ウヒイ!ケツからも血が出たウワアアアアアアア気持ち悪いいいいいいい!!

最近忙しくて嫁さんたちに魔力ごはん貰ってなかったし、その状態でダンジョンコア活性装置作ったからなあ……。


「グレン様!?血が……医者を…!」

「…ダリル、落ち着いて。俺、聖魔法持ちだよ?自分で……っい…っ……!!」


……うーん。無理っぽい。


「……っ…ごめん、兄ちゃん、…呼んで、くれる…?」


こうしている間にガリガリ。早く抑え込まないと根源までだ。

バタバタと誰かが走っていく音がする。ダリルが俺をギュッってしてくれるけど。やめてやめて今それやられたら食欲刺激されるからやめて。普通の魔導士並みの魔力量のダリルを今食ったら、ダリルが干涸びちゃう。




痛みと、オリジンとしての食欲に抗う時間は、実際の時間よりもずっと長く感じた。










しおりを挟む
感想 36

あなたにおすすめの小説

転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!

めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。 ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。 兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。 義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!? このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。 ※タイトル変更(2024/11/27)

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! 本編完結しました! 時々おまけを更新しています。

【完結】もふもふ獣人転生

  *  
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。 ちっちゃなもふもふ獣人と、攻略対象の凛々しい少年の、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です。 本編完結しました! おまけをちょこちょこ更新しています。 第12回BL大賞、奨励賞をいただきました、読んでくださった方、応援してくださった方、投票してくださった方のおかげです、ほんとうにありがとうございました!

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、転生特典(執事)と旅に出たい

オオトリ
BL
とある教会で、今日一組の若い男女が結婚式を挙げようとしていた。 今、まさに新郎新婦が手を取り合おうとしたその時――― 「ちょっと待ったー!」 乱入者の声が響き渡った。 これは、とある事情で異世界転生した主人公が、結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、 白米を求めて 俺TUEEEEせずに、執事TUEEEEな旅に出たい そんなお話 ※主人公は当初女性と婚約しています(タイトルの通り) ※主人公ではない部分で、男女の恋愛がお話に絡んでくることがあります ※BLは読むことも初心者の作者の初作品なので、タグ付けなど必要があれば教えてください ※完結しておりますが、今後番外編及び小話、続編をいずれ追加して参りたいと思っています ※小説家になろうさんでも同時公開中

【完結】婚約破棄したのに幼馴染の執着がちょっと尋常じゃなかった。

天城
BL
子供の頃、天使のように可愛かった第三王子のハロルド。しかし今は令嬢達に熱い視線を向けられる美青年に成長していた。 成績優秀、眉目秀麗、騎士団の演習では負けなしの完璧な王子の姿が今のハロルドの現実だった。 まだ少女のように可愛かったころに求婚され、婚約した幼馴染のギルバートに申し訳なくなったハロルドは、婚約破棄を決意する。 黒髪黒目の無口な幼馴染(攻め)×金髪青瞳美形第三王子(受け)。前後編の2話完結。番外編を不定期更新中。

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

処理中です...