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閑話:令嬢ジュゼッタ2
しおりを挟むわたくしたちは『もにたぁ』に釘付けになっていました。お母様とお兄様、そしてわたくし。タケノコノサト商会の『もにたぁ』はとても高価でしたが、お母様のご実家が買ってくださいました。
「……かっこいい…グレン様…!」
お兄様が呟きます。その目はキラキラして、頬は上気して。まるで恋をする乙女です。わたくしとお母様も同じような顔をしているでしょう。あまりの興奮に、わたくしとお母様は抱き合って震えていました。
色々な情報を動く精密な絵でもたらしてくださるこの『もにたぁ』。魔力さえ注げば一日中でも見ていられます。幸いわたくしの魔力は神殿に売るほど有り余っているのです。そう、お父様がわたくしの魔力を魔力貯金箱に込めてこっそり神殿に売るほど…。
その『もにたぁ』に先ほど、突然に御本尊が映ったのです。
大興奮です!
わたくしの黄色い悲鳴に駆け付けたお母様とお兄様も悲鳴をあげました。ちなみに侍女や従僕はもうおりません。暇を出しました。雇うお金が……ないのです。
……こほん。そして『ざまぁ』な断罪劇が始まりました。正直小説より興奮します。ああっ…えむ淫えー先生ごめんなさい!!ジュゼッタは悪い子です!
グレン様は奥様が「泣いても」と仰っていましたが、わたくしは見てしまったのです。ちらりと『もにたぁ』の端っこに一瞬だけ映ったレイモンド様のお顔を。
わたくしたちと同じように、うっとりと蕩けるようなお顔をされていました。
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