83 / 153
魔王復活(予定)からの振れ
しおりを挟む兄ちゃんにオルコットからの移住者の件を聞いて安心した。オルコット領の移住希望者の大移動、終わってるってさ。
農地とかは申し訳なかったんだけどさ?それはうちの土地を貸してあげるってことになった。元々、オルコット領は狭い領土に少ない人口。住んでるのもオルコット一族とほぼその使用人って感じ。オルコット領の鈴蘭の乙女ミュゲ嬢がナイトレイに移住してから「ついていく!!」って言う親戚領民が団結したそうで。
ただ領地や国を捨てきれなかった人たちもいた。仕方ない。「今さら開拓民に戻るなんて…!」っていうのはオルコット分家の人たち。屋敷も財産も全部置いていけと、たいそうがめついことを言って追い出したらしいが管理しきれるのかね?今めっちゃ王家に取り入ろうとしてるらしいんだけど、まあ無欲だって言われてたオルコット一族にも向上心のある意識高い系も居たんだねってことで。
んじゃあ明後日くらいから『魔王』復活ね?って言ったら兄ちゃんたちは緊張したように頷いた。俺が帰るときにくるっと回って砦の猟師さんたちには直接伝達することにした。父ちゃんピオ母ちゃんにも会いたいし。
魔王に乗って元聖者が魔王復活を伝達。うん。字面だけ見ると訳がわからない。きっと死傷者も難民も出るだろう。でも俺は敢えてストーリーに乗る。忠告を聞かない馬鹿も思考停止の阿呆も上前を撥ねようとする屑も手柄だけ持っていこうとする蛆虫どもも。
私の妻の身代わりになってもらおう。
《汝は獣也》
そう創られたオリジンといういきものは、人というよりは知性を持った獣だ。善も悪もない。殺し、食い、番い、地を満たす。《ちいさきもの》の目には、きっと俺たちは歪に見えるだろう。強大な力を持った、理解不能な獣。
善も悪もない。私は私のものを守る。それのどこが悪い?
……ああ、混ざっていない。《高天》と穂高が。そもそも混ざるのか?穂高という人格は、《高天》が《ちいさきもの》の振りをするために模倣した人格だ。《ちいさきもの》とは訳が違うのだ。
面倒くさい。振れが気持ち悪い。
今、私は、俺は、いったいどちらなんだろう…。
応援ありがとうございます!
23
お気に入りに追加
3,401
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる