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起動からの誤作動

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夕食後は、みんな揃っててちょうどいいから壁魔道具を起動することにした。研究室に案内することはできないから、母ちゃん型魔道具を小脇に抱えて持ってくる。プランとした透明の女に一堂がギョッと目を剥いた。


「せ…せ、精霊…!?」


いいえピオ母ちゃん、魔道具です。

腹は減ってない。昨日嫌だって泣いても食わされまくったから魔力は有り余ってる。ガツンと魔力を注いで起動すれば、魔道具がゆっくりと目を開けた。うん、成功。


「リ…リリエンティーナ!?」


いいえ父ちゃん、魔道具です。

母ちゃん型魔道具はゆっくりと辺りを見回し、俺を見て小首を傾げ「おはようございます。マスター登録と識別名を入力してください」と歌うように言った。


「め…女神…!!」


いいえドランさん、魔道具だってば!!


「おはよう、俺はグレン・ナイトレイ。君の名前は『ティナ』だ」

「マスター『グレン・ナイトレイ』。識別名『ティナ』。……おめでとうございます、正常に登録されました。以降は識別名で命令の入力をしてください」


あれえ?なにこの一世代前の固い反応。まあ学習機能入れてるからちょっとずつ良くなるかな?


「ティナ、今ここにいる人たちの命令は執行」

「登録されました」

「ただし、性的なハラスメント行為には従わなくていい」

「登録されました」


そこ!ピオ母ちゃん!「そんなあ~!」とか言って残念がらない!


「システムを起動させますか?Y/N」

「ノーだ。まだいい。もうすぐ俺の結婚式とナイトレイの独立記念日になるから、その時に派手にやってくれ」

「了解しました」


よし!問題なく起動!起動……え……………?

ティナがたたっと小走りにこっち来たと思ったら、俺の胴体にギュッと抱きついた。


「……ん?」

「魔力の補充中です」

「え…?いや、そんな機能付けてな……」

「補充中です(スリスリ)」

「魔力減ってないよね???」

「補充中です(ギュウッ)」


あれえええええ???えっ…、なにこれ???

待って、なにこの誤作動!?怖い怖い怖い!婚約者3人の笑顔が黒い!!作ったままチェックしないで研究室に放置したのが悪かったのかね…。(涙目)






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