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閑話:《奈落》
しおりを挟む《高天》のにおいがする。
《桜座》が急に言い出した時は、また何を思いついたんだと呆れた。念のために、と確認しに行った先で、姿形の整った《ちいさきもの》がいた。
ーーー これが?嘘だろう?
《オリジン》の気配どころか、微かに漏れる魔力の色は確かに《ちいさきもの》だったのに。
《桜座》が笑った。真っ青になって震えるそれの、眼が……。
そう。美しい『光』の色だった。
ーーー まさか、本当に………?
怯えて狼狽るそれはオリジンの言語で叫んで、掻き消すように居なくなってしまった。
「グレン!!」
擬態したオリジンの連れだろう。赤髪の男が叫んだ。
「迎えに……僕が迎えに行きます…!ジェラルド様は事情を聞いておいてください。クロくん!乗せて!!」
《承知した!!》
走り出した《烈》と赤髪の後ろ姿をぼんやり見送る。
何が ーーー どうなっているんだ!?
「あれえ?クソ《高天》がえらく可愛くなってんなあ?あー…、俺、アレだったら孕ませたいわ」
やめろ《桜座》…。今度こそ世界が滅ぶ。
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