【異世界大量転生1】乙女ゲームの世界に来たようなので、MMO気分で満喫することにした

「植民地に風穴を開けてご覧に入れます！」

王妃陛下……要するに にーちゃんの嫁に『裏切り者と罵られながら植民地統治するのと、死んだことにして身一つで放逐されるのどっちがいい？』って聞いてたら、いきなり奇声をあげてジャンピング土下座をかまされた。正直びびった。

プレーヤーネームなんか叫ぶもんだから確認したら、地球のMMOのギルメンでござった。



プレーヤーネーム『ゴルゴ14』はPKだった。



暗殺を生業とするロールプレイPKだったが、ギルドウォーで敵対ギルドに雇われてたからポッコポコにした。ボッコボコじゃなくてポッコポコだ。可愛い殴り方だろ？

それというのも、ゴルくんがあまりに良い狙撃するもんで欲しくなったからだ。

ギルチャで皆様にお伺いをたてると、満場一致で「心を折ってからスカウトしてね♡」と言うことになった。

とりあえず数十回デスループしたら素直に俺のワンコになった。

のちにギルメンになったゴルくんからは、「アレは折るんじゃなくって粉砕って言うんです」って唸られた。




しっかしねえ……

さっきまでツンツンしてた美女が、変顔して痙攣しながら土下座してる。

いかん。新たな扉が開きそうだ。

取り敢えず土下座させたまま質問という名の尋問したら、

「サー！イエッサー！ギルマスの命令ならば植民地に風穴を開けてご覧に入れます！！」

と意味不明な事を鼻息荒く叫んだ。

ゴルくんや…『エリザベス王妃陛下』の生まれ故郷で何をするつもりだね君はwww

「……で、ですね？オレ、心は男なんですが………離婚とか、できません？いくらイケメンでもオレ、男はちょっと……。えっと、死んだことにして離婚！ね！一発解決！」

離婚の意味がNEEEEEEEEEEEEEEEEEE！

俺のツッコミに情けない顔して小首を傾げる様は、まごう事なきゴルくんだ。

「あ、あと服です。服ください。こんなピラピラした袖じゃあ狙撃も無理ですし」

まて、隣国に何しに行く気だ？

「ドレス目立つし！」

ああ…うん……。でも君は敗戦国の最後の姫君なんだよ？最後の希望なんだよ？ドレス着ようよwww

「もっと潜伏しやすいズボン…出来れば汚れて擦り切れて継当てのある襤褸着なんかがいいです」

「却下だ」

「しょんにゃああああああああ！」

どこの国の姫が襤褸着て暗殺すんだよ！？












こうして王妃は『断首』される。

遺骸は王妃の祖国に埋葬されたが、一房の遺髪は我が国の霊廟におさめられた。

植民地となった隣国の復興には、ゴルゴと名乗る男装の麗人が奮闘した。





ゴルゴは『復興の聖女』『ライフルの守人』『麗しの鬼軍曹』…などの二つ名どころか複数の名で崇められ、恐れられながら後世まで語られることになる。