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始まりと終わり
最終話
しおりを挟む「そうして、聖女様を苦しめた世界に終わりが訪れました。聖女様と王弟陛下、そしてご家族と12人の騎士たちは、天上の世界へのぼっていきました」
にっこりと笑ってシスターが分厚い聖書を閉じた。
「面白かったぁー!シスター!次!次読んでえー!」
「まあ!聖書は御伽噺ではないのですよ?すべて事実です!」
「えー?だってー?その『聖女様』って、ノア様でしょー?ノア様はずっとずっと昔からここにいるオリジンだもん!そんな世界から来たなんて嘘だもん!」
「嘘ではありません!わたくしは見てきたのですよ!聖女様の尊さ、美しさ、聡明さ、慈悲深さ!それから…それから……!!」
「ウソだあ!だってシスターまだ若いじゃねーか!神族とか魔族じゃあるまいし、人間が若いままそんなに長く生きれないってガキでも知ってるからな!」
「わたくしは神に救われたのです。あのとき、聖女様の御父上でいらっしゃる神は瀕死のわたくしに仰いました。『お前は美人だし胸も大きいし清々しいまでにクズだから俺好みだ。長生きさせてやるから楽しませろ』と……」
「ますます嘘っぽい!まーたシスターの妄想癖始まった!」
「シスターは巨乳で美人だけど自分で言うなよ!?そういうとこが残念すぎて彼氏の1人もできねえんだぜ?」
「シスターがクズだったらオイラたちとっくに売られてるか死んでるよ?」
「もう…多少年増でも俺が稼げるようになったらもらってやるから、いい加減に妄想愛人はやめとけよ」
子供たちが一斉にケラケラ笑う。親を亡くしたり捨てられた子供たちばかりだが、歪みなく良い子に育ってくれた。シスターはぷうっと頬を膨らませて拗ねて見せる。
「んもう!ホントにホントなんですから!わたくしは神様の愛人なのですよ!し…信じてくれない悪い子は、かまどに焼べて夕飯にしちゃいますよっ!?」
「きゃはははは!シスターが怒ったー!」
「わかったわかった。信じるからさ、早く祈りを捧げて飯の準備しようぜシスター」
「…あら?まあ!こんな時間!今日はお芋をたくさん頂いているからスープの具はいっぱいですよ~」
「やったあ!」
聖堂に無邪気な笑い声が響く。
良い子たちだ。
良い子だけがこの聖女教会の孤児院を卒業できる。そう ーーー
聖女様に役立つ、良い子だけが。
「では ーーー 皆さん、祈りましょう。聖女様の為に」
******************************************************************
読んで頂いてありがとうございました!異世界大量転生シリーズ裏世界編終了です。
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