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始まりと終わり
94 さようなら(ノア視点)
しおりを挟むパンパンパン!と父様が手を叩いた。
「オーケー!まあまあだったかな?」
非常に上機嫌だ。……あれ?結構穏便に済ませたのに上機嫌?…ってことは……。
「《奈落》もワンコズも帰ってきたしさあ、俺、お土産取りに行ってくるわ。目をつけてる雌がいるんだよね~」
……やっぱり?やっぱり他に気になることがあったのかぁ…。
「《桜座》、お前さあ、また《常盤》にキレられるぞ?」
「ええ~?大丈夫大丈夫!だっておっぱいおっきいんだぜ?もうすげえの!たゆんたゆんのバインバインで…」
「やべえ…帰ったら《久遠》もキレそうだな」
いつのまに帰ってきていたのか。
《奈落》とみんなが帰っていた。……うん、汚い。
「じゃあみんな、浄化かけるね?傷は……ないね?」
「ただいまですノア様!」
「よろしくお願いします!」
「いやあ~、今日もよく働いた!」
「あの指揮官の顔!傑作だったよなあ」
「手袋がダメになったぁ!お気に入りだったのに~!」
「お腹減ったね」
わいわい、がやがや。
王太子を置いてけぼりにして。
「ノ……ノア…?」
王太子の声が震えている。
返事はせずに、ゆっくりと王太子を見た。
「わ…私も連れて行ってくれ…!し、死にたくない!死にたくないんだ、ノア!!」
「いいえ。貴方はいりません」
もとより興味の欠片もなかった。『大事なこと』と『どうでもいいこと』が両極端に分かれるのは《桜座》の遺伝子情報だと聞いたことがある。この王太子は後者だ。
「大丈夫、死にません。ただ、終わるんです。貴方の魂はすべて分解され、《久遠》に還る。素晴らしいことですね」
わたしは笑う。
「さようなら、王太子殿下。天上の世界で、またお会いできるかも知れませんね?世界を構築するエネルギーとして」
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