【異世界大量転生4】役に立たない淫売聖女(♂)は極寒の地に追放されました。※なお、英雄王弟は即追いかけて行った模様です。

とうや

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楽園と崩壊と

50 すべてが燃える(ドロシー視点)

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屋敷に帰って、事態はどんどん悪化していった。


どうやらこのヴァンダル王国は、で罰が下されているらしい。


……なんなの、それ!?

聖女を追放したお父様は磔にされ、お兄様は閉じこもってしまわれた。元よりあの卑しい女を追い出してから独り言が多くなっていたお兄様。もう……ダメかもしれない。

今や隣接した国々の軍隊が王都を取り囲み、監視している。王都の壁の外の国民がどうなったかなんて……知りたくもなかった。


ノア・ヴォルテッラ。聖女なんかじゃない!悪魔だわ!!


この王都は今、わずかな食料を奪い合う地獄絵図が出来上がっている、とクリスが言った。使用人などとっくに金目のものを盗んで逃げてしまっていた。クリスが持ってくる食べ物だけがわたくしの命を繋いでいた。

クリストファー様は何をしていらっしゃるの!?婚約者のわたくしがこんなに瀕しているというのに!

ああ、それにしてもお腹が減ったわ。そうよ。お腹が減るのよ。だって、このお腹にはわたくしと子供がいるんですもの。お腹が減ったわ。それに眠い。ああ、なにかしら。暖かい…香ばしい、匂いが………


「ドロシー様!!」


揺さぶられて、わたくしは我に返る。辺り一面火の海だった。


「きゃあ!!??」

「ドロシー様!掴まっていてください!脱出します!」

「ク…クリス?一体…なに、が……」

「ペトレルラ公爵が……屋敷に火を放ったようです…!」

「………は?」


なに!?おにい、さま…が…?何故!?どうして!?


「公爵閣下はもうまともではありませんでした。ああ…それでも…!こんなことをされる前に、私がこの手でしておけば……!」





……………え…?












「……ああ、そうか。もう…貴女は……は……、お姫様でもなんでもない、の…か……」






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