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楽園と崩壊と
52 ノアが可愛すぎてもはや拷問(アレクシス視点)
しおりを挟むノアが夜に俺の布団に潜り込んで来るようになった。
えっ!?って思うだろ?思うよな……って、俺は誰に話しかけているんだ…。
最初は俺も部下たちと一緒にノア家族とは違う離れで寝泊りしていたんだ。なのに、ノアが夜中にこっそり潜り込んで来るようになった。朝方になってそうっと起きたノアはまた戻っていくという…。
気付かないわけないだろ!?軍人だぞ!?
そして同じく気付いてる部下たちは、最初はあーハイハイと生温かく見守ってくれていたんだが、こうも連日だと気になって寝不足になるらしい。ただでさえ昼間はカズマの『強兵プログラム』が待っている。
結果。……俺だけ別の部屋に移された。
あいつら俺を見捨てやがった!寝れないんだぞ!?良い匂いがするんだぞ!?柔らかくて小さくてあったかいのが密着してくるんだぞ!?猫じゃないんだぞノアだぞ!!??
………ふー…。落ち着け、俺。
今夜もまた、音を立てないようにこっそりノアがやってくる。
ん?部屋が変わったの教えたのかって?部下たちが教えたに決まってるだろう!あいつら、マジで俺を売りやがった!!
もそもそ。ごそごそ。……ぴったり…。
こ れ は 拷 問 で す か ?
「…………ノア?」
「ひゃっ…?!お…起きて、た…?」
そりゃもうね。
「ノア」
寝返りを打ってノアを正面から抱き込む。
「……ん…あったかい…」
「寒かったのか?」
「……うん………」
まあ違うとは思うけど、逃げ場は作っておかないとな。
「あの、ね…アレク……」
「…ん?」
「……なんかね?忘れてるんだ…」
「…………何を?」
「わかんない…」
「…そうか……」
………まあ客観的に見ても俺は酷い男だ。
忘れていることを忘れている違和感に不安そうにするノアを見て、可哀想だと思う前にホッとしている。
忘れていてくれ、ノア。
俺は、お前を虐げた国を救う気はない。俺は物語の英雄のように、ご立派な精神は持ち合わせていないんだ。正義だ人道だと嘯く気は毛頭ない。俺は俺のエゴで、優しいお前があんな国の為に心を痛める様を見たくないんだ。
「アレクとね…こうしてると、よく寝れるんだ」
「だから毎晩潜り込んできてたのか」
「えー…ばれてる……いつから知ってた?」
「さあ、いつだったかな…」
ノアの顔中にキスをする。
「とりあえず明日からは忍び込まなくていいからな」
「え………う、うん…そうだよね……寝不足になっちゃうよね…」
「ああ。セバスには俺から言っとくから、隠れて来なくていい。なんなら手でも繋いで一緒に来るか?」
「……!…うん!アレク大好き!!」
その後、俺とノアは抱き合って眠ると2人とも非常に熟睡したのだが、事の次第を知ったデルフィーヌから「ヘタレ!」と詰られた。……解せぬ…。
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