67 / 118
楽園と崩壊と
52 ノアが可愛すぎてもはや拷問(アレクシス視点)
しおりを挟むノアが夜に俺の布団に潜り込んで来るようになった。
えっ!?って思うだろ?思うよな……って、俺は誰に話しかけているんだ…。
最初は俺も部下たちと一緒にノア家族とは違う離れで寝泊りしていたんだ。なのに、ノアが夜中にこっそり潜り込んで来るようになった。朝方になってそうっと起きたノアはまた戻っていくという…。
気付かないわけないだろ!?軍人だぞ!?
そして同じく気付いてる部下たちは、最初はあーハイハイと生温かく見守ってくれていたんだが、こうも連日だと気になって寝不足になるらしい。ただでさえ昼間はカズマの『強兵プログラム』が待っている。
結果。……俺だけ別の部屋に移された。
あいつら俺を見捨てやがった!寝れないんだぞ!?良い匂いがするんだぞ!?柔らかくて小さくてあったかいのが密着してくるんだぞ!?猫じゃないんだぞノアだぞ!!??
………ふー…。落ち着け、俺。
今夜もまた、音を立てないようにこっそりノアがやってくる。
ん?部屋が変わったの教えたのかって?部下たちが教えたに決まってるだろう!あいつら、マジで俺を売りやがった!!
もそもそ。ごそごそ。……ぴったり…。
こ れ は 拷 問 で す か ?
「…………ノア?」
「ひゃっ…?!お…起きて、た…?」
そりゃもうね。
「ノア」
寝返りを打ってノアを正面から抱き込む。
「……ん…あったかい…」
「寒かったのか?」
「……うん………」
まあ違うとは思うけど、逃げ場は作っておかないとな。
「あの、ね…アレク……」
「…ん?」
「……なんかね?忘れてるんだ…」
「…………何を?」
「わかんない…」
「…そうか……」
………まあ客観的に見ても俺は酷い男だ。
忘れていることを忘れている違和感に不安そうにするノアを見て、可哀想だと思う前にホッとしている。
忘れていてくれ、ノア。
俺は、お前を虐げた国を救う気はない。俺は物語の英雄のように、ご立派な精神は持ち合わせていないんだ。正義だ人道だと嘯く気は毛頭ない。俺は俺のエゴで、優しいお前があんな国の為に心を痛める様を見たくないんだ。
「アレクとね…こうしてると、よく寝れるんだ」
「だから毎晩潜り込んできてたのか」
「えー…ばれてる……いつから知ってた?」
「さあ、いつだったかな…」
ノアの顔中にキスをする。
「とりあえず明日からは忍び込まなくていいからな」
「え………う、うん…そうだよね……寝不足になっちゃうよね…」
「ああ。セバスには俺から言っとくから、隠れて来なくていい。なんなら手でも繋いで一緒に来るか?」
「……!…うん!アレク大好き!!」
その後、俺とノアは抱き合って眠ると2人とも非常に熟睡したのだが、事の次第を知ったデルフィーヌから「ヘタレ!」と詰られた。……解せぬ…。
99
お気に入りに追加
2,343
あなたにおすすめの小説
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
不憫王子に転生したら、獣人王太子の番になりました
織緒こん
BL
日本の大学生だった前世の記憶を持つクラフトクリフは異世界の王子に転生したものの、母親の身分が低く、同母の姉と共に継母である王妃に虐げられていた。そんなある日、父王が獣人族の国へ戦争を仕掛け、あっという間に負けてしまう。戦勝国の代表として乗り込んできたのは、なんと獅子獣人の王太子のリカルデロ! 彼は臣下にクラフトクリフを戦利品として側妃にしたらどうかとすすめられるが、王子があまりに痩せて見すぼらしいせいか、きっぱり「いらない」と断る。それでもクラフトクリフの処遇を決めかねた臣下たちは、彼をリカルデロの後宮に入れた。そこで、しばらく世話をされたクラフトクリフはやがて健康を取り戻し、再び、リカルデロと会う。すると、何故か、リカルデロは突然、クラフトクリフを溺愛し始めた。リカルデロの態度に心当たりのないクラフトクリフは情熱的な彼に戸惑うばかりで――!?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
その捕虜は牢屋から離れたくない
さいはて旅行社
BL
敵国の牢獄看守や軍人たちが大好きなのは、鍛え上げられた筋肉だった。
というわけで、剣や体術の訓練なんか大嫌いな魔導士で細身の主人公は、同僚の脳筋騎士たちとは違い、敵国の捕虜となっても平穏無事な牢屋生活を満喫するのであった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる