24 / 118
霊峰へ
18 ヴァンダル最強の男vs馬車より大きな狼(ノア視点)
しおりを挟む旅もいよいよ山に……霊峰に差し掛かると、今まで後ろを歩いて付いてきてた狼が馬の先頭に立った。
最初は馬も怯えたみたいに暴れたけど、オオーンと狼がひと鳴きしたら大人しく歩くようになった。狼はそのまま先導するように歩いていく。付いて来いということらしい。
「すごいね。狼って賢いね」
「いやいやいや…『賢い』っていうより怖いです。でも付いていくしかないわけで……」
動物に詳しいビルが頭を抱えている。
そういえばあの狼は一体何なのだろう。………触りたい…(ボソッ)
そう思わず呟いたら、お昼休憩の時に狼が隣に来た。おおおおおおお…!
「えーと…」
さあ来い!と言わんばかりに寝そべってくれる。尻尾がパタンパタンしてる。機嫌は悪くはなさそうだ。
「失礼します…」
………わあ…!すべすべでもちもちだぁ!
ウサギのふわもふとは違う、長くて固い毛が豊かに生えている。弾力すごい!ツルツル素晴らしい!!
「え…ノア様うらやましい…私も……」
そう言ってビルが手を伸ばしたらガアアアアア!!って怒られてた。ちょっとびっくりした…。
「ご…ごめんね、ビル」
「いいえー?わかってましたよ?わかってましたけどね!!」
「おっ、良いなノア。でもそろそろこっちにおいで」
俺の分の昼ご飯も持ってアレクシス殿下が現れた。
そう。アレクシス殿下と合流してから俺はいつもご飯どきは殿下と一緒だ。じっと見つめられるよりマシ。穴が開くほど見られてたらセバス父さんの美味しいご飯が喉を通らない!
慣れって怖い。今ではそんなに緊張しない。むしろ一緒に食べると楽しくて美味しい。
「あ、はい。でん…」
立ち上がろうとしたら、クルンとモチモフの尻尾に絡めとられた。
「わぁっ!?」
「ん?」
殿下の笑顔が凍り付く。すすーっとどこからともなく隠密護衛C ーーー クラークがやってきて殿下の持ってたスープとパンを受け取る。
「……やろうってのか犬っころ?」
グルルルル……
ひい!ヴァンダル最強の男vs馬車より大きな狼!!
「落ち着いて殿下!こんなとこでケンカはだめです!!お…狼さん、ごめんね?俺、殿下とご飯食べてくるからね?触らせてくれてありがとう」
グルゥ……(シュン)
あ。項垂れた。やっぱり言葉がわかるんだ…。っていうか勝ち誇らないで殿下!
119
お気に入りに追加
2,343
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
その捕虜は牢屋から離れたくない
さいはて旅行社
BL
敵国の牢獄看守や軍人たちが大好きなのは、鍛え上げられた筋肉だった。
というわけで、剣や体術の訓練なんか大嫌いな魔導士で細身の主人公は、同僚の脳筋騎士たちとは違い、敵国の捕虜となっても平穏無事な牢屋生活を満喫するのであった。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
不憫王子に転生したら、獣人王太子の番になりました
織緒こん
BL
日本の大学生だった前世の記憶を持つクラフトクリフは異世界の王子に転生したものの、母親の身分が低く、同母の姉と共に継母である王妃に虐げられていた。そんなある日、父王が獣人族の国へ戦争を仕掛け、あっという間に負けてしまう。戦勝国の代表として乗り込んできたのは、なんと獅子獣人の王太子のリカルデロ! 彼は臣下にクラフトクリフを戦利品として側妃にしたらどうかとすすめられるが、王子があまりに痩せて見すぼらしいせいか、きっぱり「いらない」と断る。それでもクラフトクリフの処遇を決めかねた臣下たちは、彼をリカルデロの後宮に入れた。そこで、しばらく世話をされたクラフトクリフはやがて健康を取り戻し、再び、リカルデロと会う。すると、何故か、リカルデロは突然、クラフトクリフを溺愛し始めた。リカルデロの態度に心当たりのないクラフトクリフは情熱的な彼に戸惑うばかりで――!?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる