【異世界大量転生4】役に立たない淫売聖女(♂)は極寒の地に追放されました。※なお、英雄王弟は即追いかけて行った模様です。

とうや

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北の地へ

14 先代公爵の誤算(ペトレルラ先代公爵視点)

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王弟アレクシスが逃亡した。


強国ベローナを捻り潰し、快進撃を続けて。あと一歩で王都チェックメイトだという土地で。

随行していた兵によれば、『オデッサに亡命』すると言っていたらしい。


オデッサに……。



 ーーー 恐らくはアレクシスはもう生きてはいないだろう。




「糞…!!」


ワイングラスを叩き付ける。酔えるものか!こんな状況で!


ああ、こんな筈ではなかった。

【聖女】のあの子供をオデッサなどに本当に送る気はなかったのだ!

オデッサに送ると見せかけて監禁し、囲い込んでするつもりだった。システムのバッテリー?そんなもの、異世界から召喚すれば替えはいくらでもいる。

ああ、そうだ。私なら、陛下より【聖女】を使って見せたのに!



あの子供は ーーー ノア・ヴォルテッラはだ。

私は見たのだ。あの子供が……【聖女】が奇跡を起こす瞬間を。

あのヴォルテッラの屋敷で。【聖女】は翼を捥がれた小鳥を二度、三度撫で……まるで幻術のように翼が再生した。【聖女】の足元に美しい色彩が溢れ、小鳥が再び飛び立つ。

【聖女】の足元に弾けた色は ーーー 色とりどりの『花』だった。

お伽話の魔法。全てを癒し再生する『治癒魔法』。『花』を咲かせる豊穣の祝福。

女神様でも持ち得なかった『奇跡』。

ああ、あの力があれば。私は神をも超えてみせるのに。





それなのに。



それなのに。娘が棄民の御者を手配し、ノア・ヴォルテッラを死地オデッサに送ってしまうなんて……!





ノア・ヴォルテッラがオデッサへ追放となり、様々な計画が狂い始めた。

『女神の瞳』を持つ、あの卑しい棄民の血を引く小娘は子を成さず逃げ。

【ヴァンダルの軍神】とまで言われた王弟は【聖女】に殉じ。

王都は維持管理システムのエネルギーが枯渇した。








ああ、早く次の【聖女】を女神様に召喚していただかねば…。















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