【異世界大量転生4】役に立たない淫売聖女(♂)は極寒の地に追放されました。※なお、英雄王弟は即追いかけて行った模様です。

とうや

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北の地へ

09 ノア様との旅(隠密護衛B視点)

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ノア様との旅は驚きの連続だ。

最初に驚いたのは足元の快適さ。

王都の天気はいつも快晴だが、王都から一歩出ると吹雪か土砂降りが殆どのヴァンダル王国。作物は育たないが、たっぷりと魔力を含んだ『魔石』が産出され、魔石を売って農作物を買っている。

それがどうだ。ノア様を乗せた馬車の周りはずっと快晴なのだ。ぬかるみなんかありゃしねえ。

次に森の変化。

私が冒険者だった頃。森は常に危険と隣り合わせの場所だった。テイマーという動物使いが重宝されたわけだ。

最初の村に入ることを拒否されて。さあ冒険者時代に培った野営術でノア様にいいとこ見せるぞ!と張り切った。……うん、張り切ったんだよ?それがさあ?

意志を持ったように草木も樹木も道を作るし、動物たちは言うこと聞かないなあと思ったら果物木の実に薬草水の実なんかを咥えて次々とノア様に会いに来る。その中に伝説の霊薬の素材があったのは戦慄した。やべえ、ノア様やべえ。

採れたての森の果物を食べてたら、必死で携帯食を馬車に詰め込んだ俺の苦労どうしてくれると思う。まあ、旅は楽なのに越したことはないが。

腹が満たされ、ぼんやり焚火を見ていたら、1匹の兎が焚火にダイブしようとした。慌ててノア様が止めたけど、それでも兎は火の中に入ろうとする。どうやら貢物を持って来れなかったこいつは、自分が焼肉になることでノア様をもてなそうとしたらしい。どこぞの御伽噺かよ!?

ノア様に捕獲され、撫で繰り回された兎はそのまま眠ってしまった。ウトウト…とノア様も船を漕ぎ始める。………可愛い!!

でもね、ノア様。貴方の抱えてるその兎。ただの可愛い兎じゃなくって首狩り兎ヴォーパルバニーの幼体ですからね!!成体になったら犬よりデカくなって、戦闘態勢に入ったら脚のとこから鋭い刃が出てくるヤバい魔物ですからね!?


そして今し方……


月夜のシルエットで現れたのは巨大な銀狼だった。

こちらに来る気配はないが、私たちをしばらくじっと見つめた後に去って行った。

なんなの……もう…。




そしてこの狼。旅の間中……いや、オデッサに着いてもノア様から離れなかったのである。









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