【異世界大量転生4】役に立たない淫売聖女(♂)は極寒の地に追放されました。※なお、英雄王弟は即追いかけて行った模様です。

とうや

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北の地へ

閑話:宿屋の日記1

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咲の月1日


朝から鎧を着た男たちが乗り込んできた。客かと思ったら「今日の昼過ぎにこの宿屋の前の道を罪人が通る。男のくせに聖女を騙り、数々の若い学生を誑かした淫売の毒婦だ。通ったら石を投げろ」って。

聖女様…聖女様ねえ…。正直言って、聖女ってなに?あたしたちは飢えなきゃそれでいいのさ。

……でも。罪人に石を投げるのはストレス発散だわね。

あたしたちは石を持って通りに集まった。腐った卵を持った奴もいる。とぼとぼとした足取りで現れたのは、うちの息子より小さくて細っこい子供だった。

「偽聖女!」

誰かが叫んで石を投げる。あたしも負けじと投げる。

ああ…気持ちがいい。

あたしの投げた石が罪人の額に当たってダラリと血が流れた。暗い喜びがあたしの心を満たす。

そう、こいつは子供なんかじゃない。罪人だ。あたしより下の、いいや、虫けらより価値のない畜生だ。

子供が門に辿り着くまであたしたちは追いかけて石を投げた。

そのあと、馬に乗ったお姫様がものすごい速度でやってきて、罪人を抱き上げ門を潜って出て行った。

なんだったのかね、あれは。

まあいい。帰って食事の準備をしようかね。




小さな地震を久しぶりに感じたけど、あたしたちには関係ない。












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