【異世界大量転生4】役に立たない淫売聖女(♂)は極寒の地に追放されました。※なお、英雄王弟は即追いかけて行った模様です。

とうや

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北の地へ

05 英雄が国を捨てる日(アレクシス視点)

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殺して殺して殺して。

向かってくる者も逃げ惑う者も。

砦を落として、血塗れの道を征く。

「腹を切れ」と言ったら逃げ惑ったから拘束して首に刃を当てた。


「指揮官たる者、全ての責を負い潔く逝け」


『アレクシス殿下、緊急事態です』


そんなことより私は早くあの子で癒されたい。

『影』の言葉を無視して刃を引こうと……


『クリストファー殿下がノア様との『婚約を破棄』を致しました』


…………は???


え?婚約?破棄???ちょっと待て。


「うちの子はいつからあの馬鹿と婚約なんぞしたんだ?」

『いえ…その、念の為にそちらの確認も終わらせてご報告に来ましたが、そのような事実はなく……』


私の動きが止まって逃げ出せるとでも思ったのか。うつ伏せで拘束している指揮官が暴れ始めたから意識を刈り取っておく。

ノアの婚約の打診はこれまで何度もあった。だがそれだけは許さないと私はその度に兄上 ーーー 陛下にお断りしてきたのだ。その結果、私は「では代わりに…」と無理難題を押し付けられてきた。

どこぞの国を侵攻してこいとか、隣国の姫の接待をしろだとか、竜の首が欲しいだとか。


『根も葉もない噂から立証した冤罪でノア様は追放処分となり、現在オデッサへと向かっております』

「ほう?そこまでするとあらばクリストファーバカの暴走だけではないな」

『は。議会での決定で御座います。ペトレルラ先代公爵に緊急招集された議会で、陛下の承認があります。『結果の残せぬ聖女は不要。廃棄してを召喚せよ』と…』

「………そうか。舐められたものだな、私も…」


気絶させていた指揮官の頭に、水魔法で冷水をぶっかける。

ああ、もう。こんな茶番は終わりだ。


舐められたのだ、私は。


きっと『遠征中にを見繕っておいて与えればいい』とか思ったんだろうなあ!糞が!!

目が覚めた指揮官に笑って見せる。笑ってやってるんだ。青くなってガタガタ震えるなよ。男だろ?



「殺さないでやるから帰って国王に伝えろ。は終わりだ。はオデッサにするから、後は好きにヴァンダルを攻めろ」










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