【7人の魔王5】魔王様の食卓 〜今日も嫁(おれ)の飯がマズいらしいが、愛があるなら乗り越え(あきらめ)てくれ〜

混ぜすぎると危険なのは料理も一緒

ズルリとアンドレアスだったものが謁見の間に入ってくる。モニター越しにはわかりにくかったけどこれは酷い。魔王というより異形だ。魔王じゃないけど。


「……久しぶり、アンドレアス…」

「アマルテイア…」


腕の中の黄金が引き攣ったようにギュウウって抱きついてくる。うん、グロいね。幼児に見せるもんじゃないよ。モザイク仕事しろ。

アンドレアスの首から下は真っ黒な粘液のようななにかに変わっていた。時折ゴポリとガスのような空気を吐き出す。とんでもない異臭だ。……多分だけど、これは彼が殺してきたなにかの成れの果て。グニョグニョ、ズルリと動き回るそれは蛸なのかスライムなのか。とにかくめっちゃ禍々しい。肩口からは黒い羊の頭が生えていて、不気味にメエー、メーエーって鳴いてる。怖い。軽くじゃないホラーだよ！
？


「ア、マル…テ…ア……やっと、会えた………ああ、ああぁ…か、…かな……　　　」


呟いた声は聞き取り辛かった。肺に水が溜まってるみたいにゴポゴポいってる。仕方ない。可哀想だし幼児のトラウマになりそうだし早く終わらせよう。


「アンドレアス、俺ね？今、幸せだよ？」

「…ぁ……あ、あ………ア、マ……」

「この子が俺の子供。あっちにいるのは俺の旦那様と二人目の子供」

「あっ……あ、あ……ああ…っ！」


ギュン！と真っ黒な触手が動く。ドリルみたいに鋭く尖ったそれは、陽咲と白金に到達する前に霧散した。おお…陽咲なら大丈夫って思ってたけど、張ってて良かった結界。


「ど……し、て…………どうし、て……」


アンドレアスが血の涙を流し始める。まあ…うん、ごめんなアンドレアス。そんな姿になってまで取り戻そうとしたのになあ。










「どう、して……かな…で、さん………」