【7人の魔王5】魔王様の食卓 〜今日も嫁(おれ)の飯がマズいらしいが、愛があるなら乗り越え(あきらめ)てくれ〜

羊に甘い魔王様ザマァ仕立て 2

マシな服ってなんだろう。俺はクローゼットの前で考える。アマルテイアの記憶では、今着てるシャツとズボンでもめっちゃ良い服なんだけど…。

クローゼットの奥の方に白い軍服っぽいのを見つけた。そういや陽咲は初めて会った時は黒い軍服のようなものを着ていた。ひょっとしてこれが正装？よし、これにしよう。

シャツ着てー、ズボン穿いてー、ベストと上着。ボタン多いなあ。しまった…俺、ネクタイ結べない…。むむむ…確か縦に結ぶんだよな？えーと、えーと…


「奏、着替えたか？」

「あっ、陽咲！いいとこに！ネクタイ！ネクタイ結んで！」

「………」

「あら…まあ！」


白い軍服に四苦八苦してる俺を見て、陽咲は黙るしメルはなんでか嬉しそうにした。


「あっ、この服ダメ？これだって思ったんだけど」

「いいえー！良いんですよ！良いんです！正解です！だってほら！私も陽咲様も正装ですし！！ねっ？陽咲様！」

「……う………うん、よく…似合ってる………」


陽咲はちょっとムッとした表情をして俺からネクタイを奪い取った。……でも耳が赤い。うむうむ！この服で正解だったみたいだ。


「……ネ…ネクタイくらい結べないのか？お前、一応前世は成人してただろ？」

「あー、ネクタイしなくていい会社に就職しようと思ったら、趣味でやってた絵と話で飯が食えるようになったし…」

「…そうか……ふん、じゃあ俺がやってやるよ」

「うん、ありがと」

「べっ…べつに、そのっ……ネクタイがきちんとしてないとだらしなく見えるだろう！俺の嫁なんだからピシッとしてもらわないとだな…っ」


赤い顔して俺の首に器用にネクタイを締めてくれる。あー、可愛い！俺の旦那様まじ可愛い！！本人はツンツンしてるつもりなんだろうけど。ニッコニコしながらメルがネクタイピンを持ってくる。その唇が「(グッジョブよ、奏様！！)」ってパクパク動いた。


「よし」

「ありがと、陽咲」


陽咲の瞳と同じ色の、深い赤の宝石がついたネクタイピンをつけてもらう。


「………なに笑ってんだ…」

「えへへ…なんかさあ、このタイピンつけたら『俺は陽咲のモノ』って主張してるみたいで……なんかいいね？」

「～～～っ！むっ、無駄口きいてねえでさっさと行くぞ！！」

「はあい」




あー、可愛い！もう聞き飽きただろうけど何度でも言うよ？俺の旦那様が可愛すぎてつらい！！