【7人の魔王5】魔王様の食卓 〜今日も嫁(おれ)の飯がマズいらしいが、愛があるなら乗り越え(あきらめ)てくれ〜

【兄視点】

アマルテイアが連れていかれて俺たちはすぐに牢から出された。ミケリーノ神官はやっと解放される！と浮かれていたがこれで終わるはずがない。

【暴食のベルゼブブ】に攫われた者たちの生還率は低い。そして生きて帰れたとしても精神や体になんらかの異常をきたし幽閉……という結末がほとんどだ。俺は出された水も餌も口にしていないがミケリーノ神官たちは……


「はーい、じゃあここに一列に並んでねっ？」


手枷足枷をつけられたまま壁際に並ぶ。目の前には獣人のような魔族が多数見物に来ていた。番号の書いた紙を持たされ、それを胸元に見えるように持っていろと命じられる。クスクスと見目麗しい女たちが俺たちを指差して笑う。二足歩行の巨大な鷲や猫、狼たちは舌なめずりをして笑っている。

まるで前世のニュースで見た競りのようだ。


「モコモコくん(？)は嫁候補としてメル様が連れていったからこの中から選んでねー？あっ、王子様は身代金要求するから落札しても物理で食べちゃダメだよう？」


ドッと場が沸く。何が面白いのかわからない…！ただ、この状況がろくでもないことだけはわかる。モコモコ……アマルテイアか…！


「待ってくれ…！アマルテイアは！？アマルテイアは無事なのかッ！？」

「ええ～？無事って言えば無事だけどぉ？貞操はわかんないわね？だって嫁候補だもの！もう味見されちゃってるかもお？」

「………っ…！」

「それよりさあ？王子様は自分の心配した方がいいんじゃなあい？ねえ王子様？童貞？処女？すっごくおいしそう…」

「………っ！？」


女は舌なめずりをしながら俺の頬を撫で、首、胸元、股間へと指を滑らせた。


「やっ…！？やめろ！！」

「アッハ、初心ね！期限付きでも十分価値はあるわあ。孕みた～い！」

「………！！？？」


どうなっている！？人権は！？捕虜でも人権は守られるはずだ！……人間の国家間であれば…。





「さあ始めるわよ～！まずは86番のおじさんからねっ！1番の王子様は取りにしましょ！」