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羊の愛情クッキング☆冷しゃぶサラダ編「俺、陽咲を口説いていいんだ」
しおりを挟む俺の愛情冷しゃぶサラダは個性的な味に仕上がっていた。
「ほれ、自分の料理をきちんと把握しろ。っていうか今度から味見しろ」
そう言って陽咲に一口ずつアーンしてもらった冷しゃぶサラダは、苺は唾が大洪水を起こす酸っぱさで、肉は塊で獣臭くて煮えてないところがあるし酒臭くて異様に塩っぱい。ドレッシングだけは奇跡的にまともで、切っただけの野菜がめちゃくちゃ美味く感じた。
「野菜が水っぽい。ちゃんと水気を切れ」
陽咲にはダメ出しされたけど、食う速度がちょっと早かったから不味くはなかったんだろう。
「…これなら……ま、毎日食ってやってもいい…」
っしゃ!勝った!!なにと戦ってるか自分でもわかんないけど勝った!!サラダは毎日のメニューに入れよう!
俺用に用意してもらったらしい山盛りパンとジャム各種、具沢山スープ。ご馳走だ。
「……えっと、陽咲?アーン?」
「えっ…!?」
「え…?だって俺だけ食べるのって悪いじゃん?こうすれば少し味がするんだろ?」
「えっ…え……そ、そう、だな!お前は嫁だし、こ…このくらい当然…だな?」
パンをちぎってバターと蜂蜜を塗ったやつを差し出す。パクリと齧り付いた陽咲の顔が緩む。かわいい。めちゃくちゃかわいい!
「なんじゃ、陽咲と嫁はまだ床入りしてないのかの?まるで飯事ではないか」
「え……は、それはそのぅ…お二人とも初心と申しますか……」
とこいり?
「とっ…!?とこ、いり!?とか…!!しっ、しない!まだそんな…!!」
「まだ?くくく…そうか、まだかあ」
「爺い!!」
「その様子では口吸いもまだよのぉ?」
「~~~っ!!」
「???」
「嫁よ、コレはわかりやすく口説かぬと時間がかかるぞ?」
くどく???……うん?『口説く』か………って…ええ!?
…あっ、そっか……
「俺、陽咲を口説いていいんだ?」
「はあ!?」
「『嫁』って異世界じゃ『お世話する人』だと思ってたけど違うの?俺ずっとそう思ってたんだけど。もしかして『嫁』って、陽咲とキスしたりセックスしたりできる夫婦なの?」
「ちっ…違っ……!違…わないけど、違う!!」
「これこれ、嫁よ。きちんと手順を踏まなければいかんぞ?」
「了解ですお義祖父様!まずは結婚を前提としたお付き合いから!」
「奏様~?もう結婚してるんじゃないのお?」
「えっ!?婚姻届は!?ご両親への挨拶と式と披露宴は!?陽咲が嫌なら俺がドレス着ようか!?」
「おお……陽咲よ、嫁はやるようじゃぞ?ヌシも漢を見せよ」
「~~~っ!…~~~っ調子にっ!乗るなアアアアアアアアアアアアアアア!!」
雷が落ちた。物理で、窓の外に。
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