【7人の魔王5】魔王様の食卓 〜今日も嫁(おれ)の飯がマズいらしいが、愛があるなら乗り越え(あきらめ)てくれ〜

羊の愛情クッキング☆冷しゃぶサラダ編「誰だこいつの手の届くところに危険物を置いたのは」

俺の料理を見てたメルと猫と鷲がプルプル震えている。カウンターテーブルで待機中の陽咲も眉を顰めている。


「……そうだったよ。『ひつじたにかなで』作品の料理シーンはこんな感じだったよな…。絵本じゃ可愛いと思ってたけど……やべえな」


えっ。なんの話？

盛り付けも美味しそうだし、いけるんじゃないかな？


「奏くん特製『冷しゃぶサラダ』でございます」


可愛いランチョンマットの上にフォークをセットして、冷しゃぶサラダをそっと置く。ドレッシングも添えた。俺、完璧☆

神妙な顔して陽咲がフォークを手にする。


「あ……いちご…」

「あっ、うん。冷蔵庫にあった。陽咲の目みたいに綺麗な赤だろ？」

「………っ…！おっ、男がきれいとかっ…！」


真っ赤になって苺をフォークで突き刺す。あー、可愛い！うちの旦那可愛い！


パクッ。


「…っ！！？？」


えっ…


陽咲が盛大に顔を顰めた。えっ…？ええっ！？

ぎゅっと目を瞑って、覚悟を決めたように2、3回咀嚼して飲み込む。すぐに水。そしておかわり。


「……っ…はーっ、はーっ…‥お、お前……これ………」

「えっ？えーと…冷蔵庫の中にあった瓶に入った苺？の……」

……うん、読めない。アマルテイア文盲だもん。さっきの苺の？？？の入った瓶を見せる。

「繝槭Μ繝�マリネ！？酢漬けじゃねえか！！誰だこいつの手の届くところに危険物を置いたのは！？」


危険物！？


陽咲が叫ぶと頭の中でドッと笑う声が聞こえた。え…？え？ええ？？？なに！？なんなの！？


「兄貴！！タチの悪い悪戯はやめろよ！」

System『アッハッハ！ひぃ～…も…、はふっ！はっ…！ぼ…僕じゃな…、よおっ！ひひっ……ふひっ……わ…『儂わし』だよう…くっははははは！』

「爺いか！！」


じじい？？？


「くふふっ…ちゃんと注意書きは書いておったぞ？」


えっ…

いつのまに部屋にやってきたんだろう…。カウンターテーブルの上に腰掛けた男がいた。死者のような白装束に白い足袋と草履。血の気のない青白い顔色をした壮絶な美人。背筋が凍る美貌ってこういうことだろう。


「儂はちゃんとラベルを貼ってやったぞ？確かめもせず使う嫁が……ぷっ…くくく…っ、わ、悪いだろう……くはっ！あっはっはっはははは！」

「爺い！奏がこっちの文字が読めねえって知っててやっただろ！！」

「さあて、どうかのぉ？」


えー……どういうこと？だれ？陽咲のお祖父ちゃん？……ってことは………


「…………邪神、さま？？？」

「うむ」





「儂こそは《ふるきものども》の最も旧き一柱、『儂』じゃ」





全然『お祖父ちゃん』に見えない美人はからからと笑った。











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※冷しゃぶの上に酸っぱすぎるイチゴのマリネは友人がイギリスのしゃぶしゃぶ店でやられたそうですwww