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羊の愛情クッキング☆スクランブルエッグ編 「マズい!!もう一皿!」

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「…わ……私としたことが動揺しちゃったわ……そうね…初めてだもんね…」

「ニャゴォウ…(メル様泣かないで…)」


涙を拭きながらメルが立ち上がる。えっ、そんなにひどい!?


「とりあえず持って行きましょ。なんとかなるわよ……たぶん…」


やめてメルさん不安になるじゃねえかああああ!


昨日と同じように、メルに手を引かれて回廊を歩く。後ろには『ヒナタサマ』の朝食を持った猫獣人。どうやら天使ちゃんの名前が『ヒナタサマ』らしいのだ。えっ、俺、天使ちゃんの専属奴隷!?人生勝ち組すぎねえ!?なんか噛みつかれたりオムレツに血をぶっかけられたり飯作らされたりの謎行動が多いけど。


「陽咲様ぁ~!朝ごはんですよお~」


天使ちゃんはまだ寝てた。……え、めっちゃ役得じゃねえ!?寝癖かわいいよ寝癖エエエエ!!


「今日のご飯はあ、なーんと!嫁くんの突撃♡愛妻朝ごはん!でーすっ」

「え…あ……?う?」


寝ぼけてる天使可愛すぎ。嫁とか愛妻っていうのが誤訳されてる気がするけど。

朝食の乗ってるトレイを猫獣人がすすーっと膝に置く。焼きたてらしい丸パンにコーヒー、牛乳、バターに蜂蜜、ジャム各種。そんでもって異彩を放つ俺の作ったスクランブルエッグ。


「ささ!冷めないうちにパクッと!」


メルはニッコニコでヒナタサマにフォークを握らせる。まだ半分寝てるらしいヒナタサマはのろのろとスクランブルエッグをフォークで掬い……

「……っ!?……ん!?ん!!??」

おっ?おっ!?


ガリッ。


………ん???


ヒナタサマが盛大に眉を顰めた。数秒間戸惑ったように止まって、覚悟を決めたように飲み込む。そしてもう一口、ぱくり。


ガリゴリッ。


「…………っ!……っ、んーっ……!」


ごくん。


「………メル…………これ、俺に出す前にちゃんと食ったか?」

「いいえぇ?だってまずそうなんですもん!」

「ええっ!?ひでえ!」


がんばって作ったよ俺!?


「………そうか…お前か。…うん、よし、来い。食わせてやろう」


あっ、天使が笑った。にっこりと。でもなんだろう、すげえ嫌な予感が……。


「ほら、アーン、だ」

「あーん♡」


天使のアーンとか…!ヤダ俺明日死ぬの!?


モグモッ…ガリッ…


「!?」


もぐ……ガリッ………ガリッ………


オッフ……玉子の殻アアアアアア!!

噛む度に玉子の殻を噛んじゃって美味しく食えない。しかも美味しくねえ!油の味で玉子の味どころか、塩も胡椒も見事に行方不明!!飲み込むタイミングがわからねえ!つか吐き出してえ!!


「それ、吐くなよ?吐いたら舌で床掃除させるからな?」


天使の笑顔で悪魔のような鬼畜さ。ふえええええん!美味しくないよおお!助けて!海原●山グルメえもーん!!

俺が必死で飲み込む間に、ヒナタサマはクソまっずいスクランブルエッグを完食。水を一気飲み。


「マズい!!もう一皿!」


エエエエエエエエエエ!?







何故かメルと猫獣人が手を取り合って歓声を上げた。





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