腐女神さまのいうとおり1〜亡国王子と死神辺境伯〜

とうや

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亡国王子、ホラーな求婚の顛末を語る

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謁見は、幸いオストハウプトシュタット王国が最後だったのであのまま終了。なんだかんだと理由をつけて居残ろうとする各国の使者や代表を、フィアツェンさんが全て追い出したのは翌日の夕方だった。

ま、わかるよ。アレスゲーテって居心地いいもんね?清潔だし神様二柱の降臨場所だから空気は澄んでるし、何よりご飯が美味しい。

今回の謁見に参加してる国々に、余ってる食料を腐敗防止の魔法をかけてお土産にしたらしい。この腐敗防止の魔法、有能なようで使い勝手はいまいち。だって蓋を開けたらすぐに食べないといけないらしいもん。途中で開けてみるとか、毒味するとか転売するとかしにくいもんね?俺の厨房にある時間停止付きのチェストがどれだけレアかおわかりだろうか?

オストハウプトシュタットの王女さんと王太子さんも、一晩牢屋に入れた後でお帰りいただいた。王女さんは不法入国だし、王太子は自分の父親である国王の介助といった名目でついてきてたんだけど……ねえ?王女さんと王太子さん、双子が貴賓牢じゃなく、重罪人を入れる地下牢に入れちゃったとか言ってたけど……うーん、今は使われてない地下牢らしいし、掃除してるから汚くはないって言ってたからセーフだよね?

オストハウプトシュタットの王様はという名目でアレスゲーテに残留。呪術で焼き切った舌は残念ながら完全には治癒しなかった。1ヶ月後にはそれを理由にアレスゲーテからお手紙でオストハウプトシュタットへ退位を表明。「自身は未だ呪われた体なので、神に仕えながら禊を行う」んだってさ。多分呪われた…っていうか、酷い拷問を受けて恨みつらみで死んでいった大聖女ペルセポネに憑かれてるんだと思うよ?呪いは全部俺が解除したけど、ペルセポネさんの幽霊は祓わなかったもん。ペルセポネあのひと悪霊になってたけど、エーデルハウプトシュタットが滅びた今、オストハウプトシュタット以外には害はないってデウスお兄さんが言ってたし。好きな人とずっと一緒だから良いよね?

そういうことで、オストハウプトシュタットの元王様、フィーリプさんはデウスお兄さんの神殿の神官になって、一生を神殿の奥で終えることが決定した。一花姉が何故かブスくれてたけど、オストハウプトシュタットを捨てた元王様を暗殺とか誘拐から守る意味でもあるし、フィーリプさんに何かあったら背後のペルセポネさんが本格的に祟り神になっちゃうそうだ。

徳の高い魂は、穢されると反転して恐ろしい災厄になる。

聖女や聖人、勇者を大切にするのはそういうことらしい。


 ーーー …反転……


何かが引っ掛かる。だとしたら、聖女から女神になった一花姉は幸せな一生を終えたのだろうか。一花姉はいつこの異世界に召喚されたんだろう。俺はいつどうやって、この世界に転生したんだろう。向こうで俺は死んだの?いつ?どうやって?


「………」

『どうしたのぉ、二葉ちゃん?』

「……ううん、なんでもないよ」




何故かそれは聞いちゃダメな気がした。














*********************************

ここで幼児編は終わりです。次から二葉ことアールツナイがやっと育ちます。







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