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【某国大神官視点】
しおりを挟む巫女が神託を賜った。神の名はデウス・オティオースス。神話の中にしか登場しない最高神。
『これよりアレスゲーテ公国を我が唯一の庇護国とする。このデウス・オティオーススの弟、アールツナイを巫子とし、彼の国を不可侵の聖域とする』
ーーー アレスゲーテ公国…?
聞いたこともない。
しかもデウス・オティオーススの兄弟神は全て父神に喰われたのではなかったか?少なくとも神話の中ではそう伝えられている。
『アレスゲーテ公国』を調べさせたが、すぐに報告が返ってきた。北の果てのオストハウプトシュタット王国から独立した小国。魔王領に隣接し、若き領主は隣国エーデルハウプトシュタットを征服し、褒賞として独立。その領主の妻が征服されたエーデルハウプトシュタットの王子だというのだ。
その亡国エーデルハウプトシュタットの王子が神子だという。
ーーー 情報量が多すぎる。
オストハウプトシュタット王国はいまだアレスゲーテの独立を認めていないだとか、神子の二親はオストハウプトシュタット王と大聖女ペルセポネだとか、エーデルハウプトシュタットは神子を虐げて滅んだのだとか…。
「……なにはともあれ、謁見せねばならぬだろう。神が受肉して降臨するなど、ここ300年ほど記録がないのだから」
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