腐女神さまのいうとおり1〜亡国王子と死神辺境伯〜

とうや

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亡国王子、初めて空を飛ぶ

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バッサア!バッサア!とものすごい音と風の音。誰?風の強い日にテント出しっぱなしなのは?


「ぅー…にゅ……ちぇ、んちょ…にゃおち…て……」

「アールツナイ?アールツナイ!良かった!目が覚めたな!」

「ほぇえ?」


ぱっちり目を開けた先は空だった。

えっ…え、えええ~……

続いてフィアツェンさんのご尊顔。あー、お髭のフィアツェンさんは映画の俳優さんみたいでダンディーと思ってたけど、お髭を綺麗に剃ったフィアツェンさんはイケメンすぎる。うん、この顔好き。好きすぎてやばい。


「にょ…にょ……にょこぅおおおおおお(どこおおおおおお)!!??」

「空だ」


うん!見ればわかるッ!!


「アレスゲーテに帰還するのにシュトゥルムヴィントを呼んだ」

「しちぅ……ぅんじゃれちゅぅわ(ゴンザレスは)?」


ええ?何その舌噛みそうな名前?!噛むほど長くないけど。


「ゴンザレスは森を抜けて追いかけてきてるぞ。シュトゥルムヴィントは俺の龍だ。後からアールツナイにもきちんと挨拶をさせよう。……ああ、ほら、見えてきた」

「んぇ?」



「あれが俺の領土アレスゲーテだ」



「…………っうあああああああ!」


黒いって言ったほうがいい深緑の森に突然現れる砂色の街。中央には城というよりはずんぐりとした塔がデンッと鎮座して、その周りに小さな砂色の煉瓦屋根の家がいっぱい。その家と森を仕切るように高い壁がある。

すごい!すごいすごい!本当にファンタジーだ!

興奮しすぎて語彙が死んだ。「ぅほおおぉぉお」としか叫んでない。ハッと我に帰るとフィアツェンさんがまるで興奮しすぎた子猫でも愛でるようにニコニコしていて、なんだか居た堪れなかった…。おかしい。感覚的には前世の大学生くらいなんだが、8歳のアールツナイに引き摺られてる気がする。まあどっちも俺なんだけど。


「空の散歩にはまた改めて行こう。降りるぞ?」

「ぅあい…」


恥ずか死ぬ…!
















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