腐女神さまのいうとおり1〜亡国王子と死神辺境伯〜

とうや

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死神辺境伯、独立を宣言する

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またまたお馬に乗ってガッシャンドスンガッシャンドスン。うん、パカポコじゃない。だってお馬さんたち綺麗になってたけどまだ鎧着たままだし。ゴンザレスもピカピカだ。


「ぉかっちゃぬぇえ、ぐぅんじゃえちゅ(良かったねえ、ゴンザレス)」


手を目一杯伸ばして鬣を撫でるとヒヒンと鳴いた。なんだか得意げ…。

ちょっと臭い川を渡って大きな建物に入っていく。わー、実家のお城みたいだ。そう思ったらお城だった。おじいちゃん門番さんが俺を見て何か言ってたけどよく聞こえない。「ペルセポネさま」?ってだれ?キョロキョロあっちこっち見てたらフィアツェンさんにヨシヨシされた。大丈夫だよー、怖いんじゃないよー。

鎧の兵隊さん達はお城の中まで入れないみたいで、行ってくるねと手を振ったらすごく怖…げふん、迫力のあるお顔でサムズアップ。お顔は怖いし体は縦にも横にも大きい筋肉ダルマ集団だけど結構優しい。っていうかアールツナイの実家と比べちゃダメだよねぇ。

金ピカ廊下を通って真っ赤な絨毯を踏み締めて。悪趣味なくらい装飾された扉を潜ると、知らない人たちがズラッと並んでいた。

……うーん。言っちゃいけないんだけど臭い。人間の酸化した脂の臭いと甘ったるい香水みたいな匂いが混ざる。匂いって混ざると生ゴミかウンコかって臭いになる。臭いよお…。あまりの臭さに俺が硬直しているのを緊張ととったのか、フィアツェンが背中をポンポンしてくれる。うん、良いお父さんになるよフィアツェンさん。


「よくぞ参った。フィアツェン・アイスツァプフェン・アレスゲーテ辺境伯」


雛壇みたいな場所に座ったおじさんがよく通る声で言った。


「は」

「エーデルハウプトシュタット戦役、ご苦労であった。褒美を取らせよう」

「は。では…」


「フィアツェンさま!おかえりなさいませっ!」


シーンとした中での王様っぽい人とフィアツェンさんの話に、めちゃくちゃ場違いな黄色い声が横入りした。フィアツェンさんがしゃがんでる(膝をついてる?)からいまいちわからないけどドレスっぽい布の端っこが見えた。ピンクだ。しかもぶりぶりでリボンがいっぱいだ。


「おお、これこれ、アーテ。今は余とアレスゲーテ辺境伯が話しておるのだぞ」

「ええ~、でもぉ、お父様?アーテはフィアツェンさまが帰ってくるのを楽しみに待っていたのよ?ご褒美なんか決まってるじゃない!ワタクシよ!ワ、タ、ク、シ♡キャァッ」


え……なんのコントが始まったのかな?


「そうじゃ、アレスゲーテ辺境伯、褒美はこのアーテでどうじゃ?美しく、気立もよく、何より其方を心の底から愛しておる。それなりの持参金を持って嫁がせよう」

「断る」

「そうかそうか、では日取りを………は?」

「23にもなって何処にも嫁の貰い手もなかった『妖精姫』。長兄の二の舞は御免被る」

「なっ、なっ、な……」


「それに俺の嫁はこのアールツナイだ。さあオストハウプトシュタット国王、誓約通り、俺はエーデルハウプトシュタットを蹂躙し尽くした。王都パルテナを陥落せしめた」








「アレスゲーテは今これより、オストハウプトシュタット王国から独立する」
















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