腐女神さまのいうとおり1〜亡国王子と死神辺境伯〜

とうや

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亡国王子、猛烈に目が痒い!

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手首から先が生えた。異世界の神秘すごい。「あえちゃ(生えた)!」って言いながら見せると、フィアツェンさんは自分のことのように喜んでくれた。最初に俺の左手を恐々触って、「小さい…細い…可愛い…爪がちゃんとある…」とかブツブツ言いながら触りまくり、俺が痛がらないと知るとずっとニギニギしていた。片手運転はやめようね?馬だけど。


「だかりゃもお、あーにゅ、いあにゃいお(だからもう、アーンいらないよ)?」


そう言ったのに俺にアーンし続けるフィアツェンさん。言葉通じてない?いやいや、最近は大体通じ始めたよね?都合の悪い時だけわかんないふりしてる?オトナ、キタナイ。


馬はどんどん進む。


フィアツェンさんは愛情とスキンシップと魔力が俺の手足を生やすって実感したらしく、ずっと触ったりチュッチュしたりしてる。体がポカポカあったかいのはきっと『魔力譲渡』ってやつ。気持ちいいのか擽ったいのか。でも右目のあった場所が痒い。掻き毟りたいけど右腕無いし左手はフィアツェンさんがチュッチュしてる。んああああ!痒い!絶対なんか生えてきてる!今世、痛いのは慣れてるけど痒いのは無理!ああ~!痒い痒いかゆい!フィアツェンさんの胸元に右目を擦り付けてモゾモゾしてると、それがまた可愛いらしく蕩ける笑顔でチュッチュしてくる。俺は子猫か何かの括りなのかな?


「……かうぃ(痒い)…」


くったりしながら訴えると、休憩の時に漸く右目の包帯の下を見てくれた。


「…………」

「おお…」

「これはこれは…」


フィアツェンさんとお付きの人(リンクさんとレヒトさんっていうらしい)が俺の顔を覗き込む。


うん、どうやら生えた、らしい。

あーでもフィアツェンさん欠損フェチなら全部治ったら俺のこと興味なくなるかな?お仕事するから捨てないで欲しいなあ。


「なんっということだ!?片目でも愛らしかったアールツナイが…!天使か!?いや美の女神!!」


いいえ、女神(腐)の弟です。


「よし!ここにアールツナイの石碑を建てよう!」


建てないでっ!?


「美しい双眸ですねえ」

「なんと言いましたかね?グリーンガーネット?深くて澄んだ森の色ですね」

「よし、グリーンガーネット買い占めろ」

「「御意」」


やぁ~めぇ~てぇええええええええええええ!?


イヤイヤと首を振ると無駄遣いはやめてくれた。こわい!怖いよ!?もしかしてお金持ち!?



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