【7人の魔王3】ひとでなしの恋

【王子視点】

『女王の玩具』が壊れて半年が経った。


女王は、フォルカポッジョは ーーー 狂った。


玩具の蘇生に失敗した女王はその場で王配の首を刎ねた。這い蹲り、小指の爪ほどの小さな骨を握りしめ、吼えた。



「こ…こ、こ…こ………殺せ！！わたくしの夫を殺した者を、ものを、モノを殺せ！！壊せ！！滅ぼせ！！ああ、ああ、あああ！！アルトリウス！アルトリウス！！わたくしのアルトリウス！！！お前を殺した者を全て破壊してやる！！子供たち！わたくしの子供たち！！お前たちの父の仇を取ってこい！首を！命を！根刮ぎ奪ってこい！！全て壊せ！殺せ！この丘に吊るせ！！」





「 ーーー 一番多く殺した者は玉座をやろう」






その一言で、すべてが狂った。

まったくもって狂っている。


上は18歳、下は5歳の王子、王女たちが一斉にその狂宴に参加したのだ。……私を含めて。


 ーーー 一番多く殺した者。


その真意はすぐに知れた。


敵も味方も、たくさん殺せばいい。


だから王子、王女たちは自分の陣営に一人でも多く引き入れる。無駄なら殺す。使えるなら殺させるために。


狂っている。


神は亜人を愛さない。いくら高額な蘇生薬を振り掛けようとも、亜人の奴隷が神の奇跡によって蘇るはずがないのだ。

私はそっと自分の耳を撫でる。

尖った ーーー 亜人の耳だ。

神は私を愛さない。


そうか。ならば ーーー 









この私が神をも殺して、玉座を手にしよう。