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探し人《夢》【16】
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歩いて行くと、彼は坂の手前に立っていた。
私に気づくと、顔を綻ばせて…。いつもの彼とは違う反応を示した。一体彼に何があったのか、私にもわからない。ただ、このままでは彼に翻弄されてしまいそうだ。
それでも動揺を悟られまいと少し無理して平然を装う。
「待たせたわね」
「いや、全然。さあ行こう」
「行き先…本当に教えてくれないの?」
「直にわかるから。それまではお楽しみにさせて」
「…わかったわ」
やっぱり。いつもの彼とは違う。
すると、彼は突然立ち止まっていきなり手を差し出してきた。
「?」
「手、出して」
言われるままに、右手を差し出す。
「こう?」
「ん」
私の右手を、彼の左手が包む。
「…そんなに人が多いところに行くの?」
それにしても、まだ坂を下る前から手をつなぐのは、まだ早いと思うんだけどな…。
夏祭りは確か明日のはずだったけど、今日も何かあるのだろうか。
「まぁね。さ、行くよ」
彼に手を引かれる形で、私は坂を下って行った。
私たちはあの細長い農道を通って、その行き先に向かう。
だんだん人が増えてきて、何かがあることは理解できた。
けれど、それが何なのかわからなくて、やっぱり私の頭の中は?マークで埋まっている。
そのうち、飾りつけされた道を通って、大きなステージが見えるところまで来た。
「ねぇ。今日はなにかのお祭りなの?」
「うん。…そろそろいいか。今日は明日の夏祭りの前夜祭なんだ」
「前夜祭?」
「そう。明日は花火や出店メインだけど、今日はステージメインでのお祭りなんだ」
「今日はどんなことをするの?」
「村の外からいろんな人を招待していて、お笑いやコンサート、マジックを披露してもらったり、最後はみんなで円になってダンスを踊るんだ」
「楽しそうね。…けど、私ダンスなんて踊ったことないから最後のダンスは遠慮しておくわ」
「僕がリードするから大丈夫。もっと前に行ってみよう」
彼は有無を言わさず、私をステージの近くへ引っ張っていく。
「ちょっ、ちょっと待って!」
私の声が聞こえなかったのか、それとも無視を決め込んでいるのか、ーーおそらく後者だと思う。ーー私の手を引いて、どんどん前を進んでいく彼。
今だけは、仕事を忘れてこのお祭りを楽しんでもいいの?
そう心の中で彼に問うけれど、彼はずっと微笑んだまま。
いいの、だろうか。
私に気づくと、顔を綻ばせて…。いつもの彼とは違う反応を示した。一体彼に何があったのか、私にもわからない。ただ、このままでは彼に翻弄されてしまいそうだ。
それでも動揺を悟られまいと少し無理して平然を装う。
「待たせたわね」
「いや、全然。さあ行こう」
「行き先…本当に教えてくれないの?」
「直にわかるから。それまではお楽しみにさせて」
「…わかったわ」
やっぱり。いつもの彼とは違う。
すると、彼は突然立ち止まっていきなり手を差し出してきた。
「?」
「手、出して」
言われるままに、右手を差し出す。
「こう?」
「ん」
私の右手を、彼の左手が包む。
「…そんなに人が多いところに行くの?」
それにしても、まだ坂を下る前から手をつなぐのは、まだ早いと思うんだけどな…。
夏祭りは確か明日のはずだったけど、今日も何かあるのだろうか。
「まぁね。さ、行くよ」
彼に手を引かれる形で、私は坂を下って行った。
私たちはあの細長い農道を通って、その行き先に向かう。
だんだん人が増えてきて、何かがあることは理解できた。
けれど、それが何なのかわからなくて、やっぱり私の頭の中は?マークで埋まっている。
そのうち、飾りつけされた道を通って、大きなステージが見えるところまで来た。
「ねぇ。今日はなにかのお祭りなの?」
「うん。…そろそろいいか。今日は明日の夏祭りの前夜祭なんだ」
「前夜祭?」
「そう。明日は花火や出店メインだけど、今日はステージメインでのお祭りなんだ」
「今日はどんなことをするの?」
「村の外からいろんな人を招待していて、お笑いやコンサート、マジックを披露してもらったり、最後はみんなで円になってダンスを踊るんだ」
「楽しそうね。…けど、私ダンスなんて踊ったことないから最後のダンスは遠慮しておくわ」
「僕がリードするから大丈夫。もっと前に行ってみよう」
彼は有無を言わさず、私をステージの近くへ引っ張っていく。
「ちょっ、ちょっと待って!」
私の声が聞こえなかったのか、それとも無視を決め込んでいるのか、ーーおそらく後者だと思う。ーー私の手を引いて、どんどん前を進んでいく彼。
今だけは、仕事を忘れてこのお祭りを楽しんでもいいの?
そう心の中で彼に問うけれど、彼はずっと微笑んだまま。
いいの、だろうか。
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