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探し人《夢》【7】
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自己紹介を互いにしあった後、おばあさんは言った。
「ところで、アイシアナ。おまえ、自分の能力には気づいているんだろうね?」
「なんですか?ソレ」
もちろんに身に覚えがないので、素直にそう答えた。
「あんたっ。それじゃまさか、今の今まで知らないままタイムリープしてたのかい?」
「いや、意識してやってたわけじゃないっていうか…。自分にそんな能力があるなんて知らなかったというか…。っていうかタイムリープってなんですか?」
「……あんた、そりゃないよ。はぁ…。わかった。あたしが一から説明してやるよ」
そう言って、しぶしぶおばあさんは私にわかりやすく説明してくれたのだ。
「いいかい。タイムリープってのはね、簡単に言ってしまえば時間跳躍。現在という時間の枠から過去や未来に飛ぶことなんだ。まぁ、世間一般で言う『タイムトラベル』や『タイムワープ』とおんなじもんさ。大抵は自分の意思で飛ぶものなんだが…。あんたは、まぁ、例外中の例外ってことだね。そんで、タイムリープの飛び方にも2種類の飛び方があってね。身体ごと飛ぶ方法と、魂だけ飛ぶ方法があるんだ。出会った時に聞いたろう?実体はどうしたって。…だからあんたは既に魂だけの飛び方は知ってるってことだ。能力のコントロールを練習すればどちらの飛び方でもタイムリープは可能だから…まぁ。頑張りな。あと、もう一つ言っとくと魂だけのタイムリープは生き霊と同じ扱いになるから気をつけな。死神が匂い嗅ぎつけて狩りに来るからね。私は身体ごとのタイムリープをお勧めするよ」
「は、はい。わかりやすい説明ありがとうございました。おばあさん」
一度に結構大事なことをバンバン言われて、頭の中は少し混乱中…。
「本当に大丈夫なのかい?あんたどう見ても鈍臭そうだから心配だよ」
どへっ。
「お、おばあさん。やめてくださいよっ。そんなに言われちゃ自信なくなっちゃうじゃないですか!」
「なぁに、このあたしがあんたを立派に育ててやるから心配すんな。ま、きっちり働いてもらうがな」
「!」
途端におばあさんの顔が悪人面に…!
これからの生活に不安を隠せないアイシアナ。
「えっと、色々ご指導よろしくお願いします。…婆様」
おばあさんの顔が虚をつかれたように、きょとんと私を見つめたあと、ハッとしてプイッとそっぽを向いた。
「わ、儂は…甘やかしたりはしないからな!」
婆様はそのまま部屋の奥に歩いていく。
「はいっ」
どうやらここで上手くやっていけそうだとわかり、アイシアナは嬉しくなった。
「ところで、アイシアナ。おまえ、自分の能力には気づいているんだろうね?」
「なんですか?ソレ」
もちろんに身に覚えがないので、素直にそう答えた。
「あんたっ。それじゃまさか、今の今まで知らないままタイムリープしてたのかい?」
「いや、意識してやってたわけじゃないっていうか…。自分にそんな能力があるなんて知らなかったというか…。っていうかタイムリープってなんですか?」
「……あんた、そりゃないよ。はぁ…。わかった。あたしが一から説明してやるよ」
そう言って、しぶしぶおばあさんは私にわかりやすく説明してくれたのだ。
「いいかい。タイムリープってのはね、簡単に言ってしまえば時間跳躍。現在という時間の枠から過去や未来に飛ぶことなんだ。まぁ、世間一般で言う『タイムトラベル』や『タイムワープ』とおんなじもんさ。大抵は自分の意思で飛ぶものなんだが…。あんたは、まぁ、例外中の例外ってことだね。そんで、タイムリープの飛び方にも2種類の飛び方があってね。身体ごと飛ぶ方法と、魂だけ飛ぶ方法があるんだ。出会った時に聞いたろう?実体はどうしたって。…だからあんたは既に魂だけの飛び方は知ってるってことだ。能力のコントロールを練習すればどちらの飛び方でもタイムリープは可能だから…まぁ。頑張りな。あと、もう一つ言っとくと魂だけのタイムリープは生き霊と同じ扱いになるから気をつけな。死神が匂い嗅ぎつけて狩りに来るからね。私は身体ごとのタイムリープをお勧めするよ」
「は、はい。わかりやすい説明ありがとうございました。おばあさん」
一度に結構大事なことをバンバン言われて、頭の中は少し混乱中…。
「本当に大丈夫なのかい?あんたどう見ても鈍臭そうだから心配だよ」
どへっ。
「お、おばあさん。やめてくださいよっ。そんなに言われちゃ自信なくなっちゃうじゃないですか!」
「なぁに、このあたしがあんたを立派に育ててやるから心配すんな。ま、きっちり働いてもらうがな」
「!」
途端におばあさんの顔が悪人面に…!
これからの生活に不安を隠せないアイシアナ。
「えっと、色々ご指導よろしくお願いします。…婆様」
おばあさんの顔が虚をつかれたように、きょとんと私を見つめたあと、ハッとしてプイッとそっぽを向いた。
「わ、儂は…甘やかしたりはしないからな!」
婆様はそのまま部屋の奥に歩いていく。
「はいっ」
どうやらここで上手くやっていけそうだとわかり、アイシアナは嬉しくなった。
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