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夢【1】
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知恵熱で寝込んでいる数日間、アイラは夢を見続けた。
けれど、その夢の見方は普段と少し違っていた。
自分は白い部屋の中にいた。目の前には、いくつかの玉がある。玉一つ一つに、なにかしらの記憶が入っているらしく、それぞれに自分と彼が映っていた。
試しに近くの玉に触れようとすると、凄い力で引っ張ってきた。自分の身体が、玉に近づいて行くのがわかる。
「と、止まって!!」
それでも身体は止まることを知らず、どんどん玉に近づいて行く。玉が目の前に近づいてきたとき、『もう駄目だ』と思い目を瞑った瞬間。何かを突き抜けたような感覚に襲われた。
「どうしたの?気分が悪くなった?」
突然声が聞こえて、目を開けた。
「…っ……」
驚き過ぎて、声すら出なかった。
……夢で見た彼だ。
「大丈夫?近くにうちの別荘があるんだ少し休んで行って」
そう言って、彼は私の手を取った。
逆光で顔が見えないのかと思ったが、普通に日が差しても、彼の顔は見えなかった。
でも、彼だ。
昨夜手を引かれた感覚。まだ覚えている。
私の手を引く彼の手は、昨夜と全く一緒。
間違いなく彼だと、自分の中で確信していた。
彼は私の手を引いて、細長い農道を歩いて行く。
「君はどこから来たの?」
彼は私に聞いた。どう答えようか悩んでいると、彼は黙っている私を見て何を思ったのか。慌てて弁解した。
「あっ、答えたくなかったらいいんだ。別に、余所者だからって理由で放り出したりしないし。ただ、見慣れないから、迷子だったら送り届けてあげようと思って…」
その慌てようが面白くて、ついつい、吹いてしまった。
すると、彼は私の反応にピクッと固まってしまった。その反応に、今度は私が慌ててしまう。
「ごっごめんなさい。親切心で聞いてくれたのに…」
「いいんだ。女性なんだからそれくらい警戒した方が良い。それに、ここは王都から離れているとはいえ、悪い人もいるからね。君も気をつけて」
「ご忠告ありがとう。気をつけるわ」
歩き始めてどれくらい経ったろう。日差しが強い。季節は夏なのだろう。空も晴れて、わた雲の群が見える。耳をすませば、蝉の声が聞こえ、側を見回せば、草木も青々茂ってとても艶々輝いている。あたりは農園なのか、田畑を耕している人がちらほら。
とってものどかで落ち着く場所だ。その調子で目の前の彼を目を向けてみると、沢山汗をかいている。
汗をかきすぎるのもよくない。
「ねぇ、少し休憩しない?ちょうどあそこに良い感じの木があるわ。貴方もこのままじゃ熱中症になってしまう。少し休んでから行きましょうよ」
「そうだね。途中で倒れちゃ元も子もない」
彼は素直にうなづいて、木陰を目指して歩いて行く。
本当に優しい人だ。きっと、喧嘩とか一番嫌いなんだろうなぁ。と、一人考えながらアイラは彼に手を引かれて行った。
けれど、その夢の見方は普段と少し違っていた。
自分は白い部屋の中にいた。目の前には、いくつかの玉がある。玉一つ一つに、なにかしらの記憶が入っているらしく、それぞれに自分と彼が映っていた。
試しに近くの玉に触れようとすると、凄い力で引っ張ってきた。自分の身体が、玉に近づいて行くのがわかる。
「と、止まって!!」
それでも身体は止まることを知らず、どんどん玉に近づいて行く。玉が目の前に近づいてきたとき、『もう駄目だ』と思い目を瞑った瞬間。何かを突き抜けたような感覚に襲われた。
「どうしたの?気分が悪くなった?」
突然声が聞こえて、目を開けた。
「…っ……」
驚き過ぎて、声すら出なかった。
……夢で見た彼だ。
「大丈夫?近くにうちの別荘があるんだ少し休んで行って」
そう言って、彼は私の手を取った。
逆光で顔が見えないのかと思ったが、普通に日が差しても、彼の顔は見えなかった。
でも、彼だ。
昨夜手を引かれた感覚。まだ覚えている。
私の手を引く彼の手は、昨夜と全く一緒。
間違いなく彼だと、自分の中で確信していた。
彼は私の手を引いて、細長い農道を歩いて行く。
「君はどこから来たの?」
彼は私に聞いた。どう答えようか悩んでいると、彼は黙っている私を見て何を思ったのか。慌てて弁解した。
「あっ、答えたくなかったらいいんだ。別に、余所者だからって理由で放り出したりしないし。ただ、見慣れないから、迷子だったら送り届けてあげようと思って…」
その慌てようが面白くて、ついつい、吹いてしまった。
すると、彼は私の反応にピクッと固まってしまった。その反応に、今度は私が慌ててしまう。
「ごっごめんなさい。親切心で聞いてくれたのに…」
「いいんだ。女性なんだからそれくらい警戒した方が良い。それに、ここは王都から離れているとはいえ、悪い人もいるからね。君も気をつけて」
「ご忠告ありがとう。気をつけるわ」
歩き始めてどれくらい経ったろう。日差しが強い。季節は夏なのだろう。空も晴れて、わた雲の群が見える。耳をすませば、蝉の声が聞こえ、側を見回せば、草木も青々茂ってとても艶々輝いている。あたりは農園なのか、田畑を耕している人がちらほら。
とってものどかで落ち着く場所だ。その調子で目の前の彼を目を向けてみると、沢山汗をかいている。
汗をかきすぎるのもよくない。
「ねぇ、少し休憩しない?ちょうどあそこに良い感じの木があるわ。貴方もこのままじゃ熱中症になってしまう。少し休んでから行きましょうよ」
「そうだね。途中で倒れちゃ元も子もない」
彼は素直にうなづいて、木陰を目指して歩いて行く。
本当に優しい人だ。きっと、喧嘩とか一番嫌いなんだろうなぁ。と、一人考えながらアイラは彼に手を引かれて行った。
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