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お泊まり会【1】
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それから、私はそのままリリシア様のお屋敷に泊まることになった。
リリシア様の体調を心配する私をよそに、当のリリシア様は楽しそう。『楽しそうですね』って言ったら、『だって、友達と初めてのお泊まり会だもの。楽しいに決まってるじゃない』と言われてしまった。くそぅ…。リリシア様可愛いすぎる。
私は、リリシア様の可愛さに当てられていた。
一緒に夕食を済ませて、一緒に湯浴みをして、一緒の布団に横になって…。その日は特に"一緒"がついて回った。
リリシア様は楽しそうだし、どういうわけか、屋敷の使用人たちも嬉しそうにしている。
嫌な顔されないだけマシなのだが、少し…いや、だいぶ気になる。
きっと、あの人の屋敷とリリシア様の屋敷とでは、使用人の距離が違うのだ。だから、気になってしょうがないのかもしれない。
ーーでも、こっちのほうが良いと思った。
布団に横になったところで、リリシア様が口を開いた。
「それで、カイルのことだったわね」
「ええ」
「参考になるかはわからないけれど、私とカイルの関係を話すわね」
「お願いします」
「私は…多分知っていると思うけど、カイルとは同じ公爵位ということで、幼い頃から交流があったの。はっきり言うと、私と彼は兄妹のような関係なのよ。恋人なんかじゃない。お互いの生い立ちや、状況を知っているから、助け合って来た。それだけ。それに、最高の話し相手も連れてきてもらったわね。カイルは、アイラ様と結婚するとき、私にも報告に来たのよ。私の妻を次の話し相手として寄越すって。彼、見た目は派手でしょう?私、話を聞いたときはこれでも身構えたの。きっと、政略結婚で貴族らしい女性と結婚したんだろうなぁって。でも、予想は外れて、後に私の大事な友人になる女の子がやって来た。この時ばかりはカイルに感謝したわ。あなたが来てくれて、本当に良かった。カイルがあなたの事を話すときは、とても楽しそうで、アイラ様のことを愛してるって顔が言ってるの。本当よ?だって、カイルの顔は恋する乙女のようなんだもの。だから、幸せなんだって思ってた…」
「リリシア様…」
「私、カイルがあなたに何を言ってるかはわからないけれど、これだけはわかるわ。あなたはカイルに愛されてる」
「そんな…!う、嘘です。だって、あの人は…」
「アイラ様。待ってみない?」
リリシア様はそっと呟いた。
リリシア様の体調を心配する私をよそに、当のリリシア様は楽しそう。『楽しそうですね』って言ったら、『だって、友達と初めてのお泊まり会だもの。楽しいに決まってるじゃない』と言われてしまった。くそぅ…。リリシア様可愛いすぎる。
私は、リリシア様の可愛さに当てられていた。
一緒に夕食を済ませて、一緒に湯浴みをして、一緒の布団に横になって…。その日は特に"一緒"がついて回った。
リリシア様は楽しそうだし、どういうわけか、屋敷の使用人たちも嬉しそうにしている。
嫌な顔されないだけマシなのだが、少し…いや、だいぶ気になる。
きっと、あの人の屋敷とリリシア様の屋敷とでは、使用人の距離が違うのだ。だから、気になってしょうがないのかもしれない。
ーーでも、こっちのほうが良いと思った。
布団に横になったところで、リリシア様が口を開いた。
「それで、カイルのことだったわね」
「ええ」
「参考になるかはわからないけれど、私とカイルの関係を話すわね」
「お願いします」
「私は…多分知っていると思うけど、カイルとは同じ公爵位ということで、幼い頃から交流があったの。はっきり言うと、私と彼は兄妹のような関係なのよ。恋人なんかじゃない。お互いの生い立ちや、状況を知っているから、助け合って来た。それだけ。それに、最高の話し相手も連れてきてもらったわね。カイルは、アイラ様と結婚するとき、私にも報告に来たのよ。私の妻を次の話し相手として寄越すって。彼、見た目は派手でしょう?私、話を聞いたときはこれでも身構えたの。きっと、政略結婚で貴族らしい女性と結婚したんだろうなぁって。でも、予想は外れて、後に私の大事な友人になる女の子がやって来た。この時ばかりはカイルに感謝したわ。あなたが来てくれて、本当に良かった。カイルがあなたの事を話すときは、とても楽しそうで、アイラ様のことを愛してるって顔が言ってるの。本当よ?だって、カイルの顔は恋する乙女のようなんだもの。だから、幸せなんだって思ってた…」
「リリシア様…」
「私、カイルがあなたに何を言ってるかはわからないけれど、これだけはわかるわ。あなたはカイルに愛されてる」
「そんな…!う、嘘です。だって、あの人は…」
「アイラ様。待ってみない?」
リリシア様はそっと呟いた。
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