悪役令嬢の末路

ラプラス

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それから【3】

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 私の一日はあの人のいないベッドで目を覚ますところから始まる。
 ゆったりとした服に着替えてから、ベッドを整え、ダイニングにて朝食を摂る。結婚してからずっと変わらない景色は、私の"日常"となった。

 もちろん、午後にリリシア様の元へ通う事も日常になっている。
 そんな私の行動について、屋敷中の誰もが思った事だろう。『貴族夫人ない』と…。
 それに関しては、否定する気はない。爵位も低く、十分な教養も持ち合わせてはいない私に、あの人は優良物件過ぎた。今でも、なぜ結婚できたのか(政略結婚だが…)不思議なくらいだ。


 そんなことを考えていると、社交界にいた頃を思い出す。自分はあの人には勿体無さ過ぎるから離縁しろだの、あなたのせいであの人の評価は下がるばかりだとか、いろいろ言われた。
 思い返すときりがない。しかし、考えてみればたしかにそうかもしれないと思いはじめた。
 そして、ある疑問が浮かんだ。


 あの人、どうして私なんかと結婚したんだろう。


 互いの利益の為だというのはわかる。
 けれど、それには許容範囲というものがある程度設定されているものではないだろうか。
 親が言うから…という理由で、私と結婚したのかと思うと、嫌だった。

 悪い想像は、なおも続く。

 だから、あの人は今も私とご飯を一緒に摂ったり、笑ったり、泣いたり、時間すら一緒に過ごしてくれないのだろうか。
 たとえ、私が二人の中を引き裂いておきながら、のうのうと幼馴染の話し相手をしている鈍感だとしても、それは、辛いし悲しい。


 人の心は理不尽で、不純物ばかりが混じっているけれど、でも、あたたかく、優しい。
 ちょっとの事で傷つく姿は、まさにガラスのようだと、誰かがたとえた。


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