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月夜の甘い夢* Side:Daniel
しおりを挟む「ぅ~ん…… 今、何時だぁ?」
辺りは暗闇に包まれ、シーンと静まり返っている。まだ真夜中のようだ。
暑い…… のどが渇く。起きるか? いや、まだ微睡みに沈んでいたい。
それにしても肌触りのいい布だな。ひんやりして、サラサラして―― 動く?
「お水飲む?」
「へ………… えっ、あれ、な、なん……」
聞き覚えのある声に反射的に視線を向けると、そこには俺が焦がれてやまない人の姿があった。いや、あり得ないだろう。俺は今、ベッドに横になっているというのに、その上にエリスお嬢様が寝そべっているなんて…… あっ! そうか、夢か。
窓の隙間から差し込む月明かりがおぼろに彼女を照らし出し、肩からサラリと零れ落ちた髪が俺の肌をなでる。その光景に目が離せずにいると、彼女はゆっくりと体を這い上がり、はちみつ色に輝く瞳に囚われると、やわらかな唇が重ねられた。
いくら夢でも、こんな欲望まみれな展開など―― いや、夢だからこそか。
彼女の舌が唇の隙間をなぞるのを感じて少し口を開けると、冷たい液体が舌の上をすべり、渇いたのどを潤していく。それは、ほんのり甘く、体に優しくしみ込む。
ゴクゴク喉を鳴らして注がれるままに飲み下すと、彼女は嬉しそうに目を細めた。そして、クスッと小さく笑ったかと思うと、口の中に入り込んだ舌で、柔らかく、くすぐる様に撫でられ、その感触に体がビクッと震えた。
彼女の小さな手が頬を包み込むように優しく撫で、くちゅっと水音を立てて舌を絡められると、夢中でそれに応えていた。更に促されるような動きに従って舌を差し出すと、ちゅぅっと吸い付かれて甘噛みされる。
耳鳴りがしそうな程に激しく打つ鼓動に、全身が火照り、熱く荒い息がもれる。
マズイ、このままじゃ確実に勃…… って、あれ?
うわあああああぁぁぁぁ~~~~~っ!!?
はっ、は、は、ハダカじゃないかっ! お嬢様まで!? なななななんなっ!?
い、いつ脱いだんだ!? いや、お、落ち着け、落ち着くんだ。すーはー……。
夢なんだから何が起きたって、ふ不思議じゃない。そう夢、夢、ユ・メ・だっ!
「はぁ…… んっ、ダニエるぅ……」
ゆめだーーーーーっ!!
熱い吐息をもらしながら、甘えるような声で俺の名を呼ぶのも、はちみつ色の瞳をとろけさせて愛おし気に見つめるのも、素肌を撫で回して妖艶に微笑むのも……。
ましてや、重なり合う肌をいたずらに擦り合わせ、猛り立って脈打つ性器を彼女の太腿ですりすりと愛撫されてるなんて、あり得ないっ! しっかりしろ!
俺の愛らしい妖精姫がこんなことをするなんて、考えるだけでも不敬だぞ!
落ち着け、落ち着け、落ち着け…… 願望を捨てて、もっと健全な方向に――
何とか夢をコントロールしようとするが、いつもの清楚で可憐なエリスお嬢様とは似ても似つかない色香をまとう彼女は、楽しそうに情欲を煽ってくる。
おかしい。エリスお嬢様にこんなイメージなど全く持ってないのに、なぜ???
混乱しつつも、愛しい人に体中にキスを落とされ、興奮は最高潮に達し、理性の糸は今にも弾け飛びそうだった。
それでも何とか堪えられたのは、いつもの夢なら彼女に己の思うままに触れれば、愛らしい笑顔は消え去り、嫌がられ、泣かれて後悔する事になったからだ。
いつもはここまで過激な夢を見ることもなかったが……。
リースの「姫君は絶対にダニエルが好きだ」と言う言葉に、最初は半信半疑だったが、彼のアドバイス通りにエリスお嬢様を観察してみれば、確かに彼女は俺の前で微笑みを絶やすことなく、特別扱いしていた。しかし、それは恋愛感情ではなく、信愛に過ぎないのではないかという疑念が消えない。
だからこそ、情欲のこもった目を向けたり、下心を隠すことなく触れたりすれば、嫌われるという思いが根深く、臆病な俺は夢の中でさえ思いを遂げられない。
はずなのに――
思考を他所へ飛ばしているにも関わらず、この夢のエリスお嬢様はお構いなしに事を進め、ゴリゴリに理性を削ってくる。
彼女は俺の胸の弾力やわき腹の凹凸を楽しむように撫でながら、薄っすらと滲む汗をペロッと舐めて不敵に笑い、性器同士を擦り合わせて腰を揺らす。彼女のコリっとした小さな突起の感触がする度に、あぁっ、んっ、と甘い声が鼓膜を揺らした。
「ダニエル、気持ちよくない?」
いえ、今にも暴発しそうなほど気持ちがいいです!
気持ち良すぎて抵抗できない。襲い掛かってしまえば、この淫夢が終わってしまうかも知れない。そんなのは勿体ない。目覚めてしまうまでは、このまま溺れて……
「ここで一緒に気持ち良くなる?」
「――――っ!?」
体が離れたかと思うと彼女はそのまま上体を後ろへ傾け、俺の体の上で仰向けになって大胆に脚を左右に広げて秘所を見せつける。薄闇の中、彼女の白くて細い指が蜜を湛えたあわいをなぞると、くちゅくちゅっと音が鳴り透明な液体があふれた。
キラキラと光る蜜を指の腹で撫で伸ばすと、ゆっくり、だか確実に蜜壺に指が入っていき、中を広げるかのように動いている。
あまりの衝撃に凝視したまま声も出せずに硬直していたが、ゴクリと喉が鳴ると、彼女はまるで悪戯を楽しむように微笑み、指を出し入れしながら甘い声をあげる。
「ダニエルと一緒に気持ちよくなりたくて、こうして慣らしておいたの」
愛しい人のあられもない姿に劣情を煽られ、甘い誘惑に理性は粉砕した。
衝動に突き動かされ、勢いよく起き上がると同時に彼女を押し倒し、覆いかぶさりながら小さな口を唇で塞ぎ、欲望のままに舌を深く絡めて、じゅるっと音を立てて遠慮なく味わう。
そのまま熱くとろける蜜壺に己の昂りをグッと刺し入れ、最初は入り口辺りをこじ開けるように角度を変えて何度か擦りあげ、少しずつ奥へ奥へと埋めていった。
ここまで来てしまえば、泣いて嫌がれようと止められはしないだろう。
頭の片隅で警告音が鳴り響き、快感と共に罪悪感が押し寄せる。
ゆっくりと遠慮がちに腰を揺らしながら、そろりと視線を下に向けてエリスお嬢様の表情を盗み見る。
彼女は瞳を潤ませ、上気した顔で悦楽にとろけた微笑みを浮かべていた。
「ははっ……」
彼女のその反応に安堵して渇いた笑いをもらすと、彼女は目を細めて口元を緩め、俺の腰を引き寄せるように脚を巻き付けながら自ら腰を揺らした。
彼女にねだられているようで喜悦が胸を占め、それまでの遠慮や不安が消え去って欲望の炎が燃え上がり、本能の赴くまま情熱に身を委ねた。
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