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裏工作はバッチリ
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という事で(?)
私は明るい未来の実現のために、ちょっとした日々の努力の積み重ねと、人目につかないように細心の注意を払いながらも、あれやこれやと画策し、粘り強く着々と実行して来た訳ですよ。
その作戦の一つとして、恋愛に腰が引けてるダニエルとの仲を進展させるために、彼の恋を応援して背中を後押しする人物として『リース』をつくり、彼との接触を図ったんだけど……。
私が最初にリースの姿でダニエルに声を掛けた時は、凄い不審者扱いだったなー。
まあ、設定があまりよくなかったのかも。
『リース』は下町で暮らす画家志望の青年で、街で偶然見掛けたダニエルの鍛え上げられた筋肉に惚れ込んで、絵のモデルになって欲しいと熱烈スカウトした。
正体を疑われる余地が微塵もないように、憧れに輝く瞳はキラキラ度合いを通常の三割増しで、どこからどう見ても芸術に身を捧げている青年をこれでもかってほど熱演しましたよ!
――で、気色悪がられたっと。そりゃあもう、見事なドン引き……。
それでもめげずに『何度も会えば好きになる作戦』で、街のあちこちで遭遇するのを繰り返していたら、更に警戒を強められた時には本当に参っちゃった。
ダニエルったら、会う度に顔を顰めるんだもの。渋カッコイイ!
普段は見られない表情が拝めるし、イケメンが青年に追い回されるという構図は、ダニエルの見た目に魅かれて秋波を送ろうとする、身の程知らずのにわかファンへの防波堤の役割を発揮し、さりげなく蹴散らせて、一石二鳥っ!
あーいう人たちって、ほんと分かってない。ダニエルの格好良さは同性さえも虜にするものだって、身を以て示してあげているのに、それで見る目を変えるなんて、そんな者はダニエルの友どころか、知人となることさえ烏滸がましいわっ!
彼の素晴らしさを誰よりよく知る私なら、嫉妬心を抱いても、さすがダニエルだと惚れ直す自信がありますよ。
今までは指を咥えて眺めているしかなかった、ダニエルの周りをうろつく鬱陶しい面々をついでに整理もできるし、時間がかかっても最終的にリースがダニエルの懐に入り込めればいいんだし、今は楽しんだ者勝ちでしょう!
なんて悠長に構えていたら、リースが視界に入るのさえ避けられ出して、もしかして、もしかしなくても、これはちょっとマズイかも……。そう焦っていたら、意図せず不逞の輩に絡まれたところをダニエルに助けられ、チャンス到来!
お礼に一杯奢らせて欲しいと、縋りつく勢いで頼み込み、渋々ながらに頷いてくれたダニエルと、いい雰囲気の三ツ星レストランへ――
行こうとしたのを却下され、彼の行きつけの、この(低評価)酒場へ。
激安だけど、料理の鮮度は悪いし、見た目も味もメシマズで、ろくな飲み物もなければ、周りの酔っ払い達はうるさいし…… なぜにここが行きつけ??
メリットと言えば、店内が狭くてダニエルとの距離が近いってだけじゃん!
あれ? うーんと、つまり…… めっちゃいいお店じゃない!
ただでさえ、ダニエルに構ってもらえてテンション爆上がり中なのに、至近距離で拝むイケメン! 端的に言って、最の高っ! はうぅぅぅっ、かっこいい~。
興奮し過ぎて鼻血が垂れ、やばっ、先に涎が―― あ、ぶなっ! セーフ。
そして私は前のめりでダニエルの話に聞き入り、隙あらば彼の素晴らしさを熱く語って聞かせた。その結果、不審者から変り者扱いになった。なんでだろう……?
それからは少しずつ親しくなっていって、元来世話焼きな性分のダニエルが何かとリースを構ってくれるようになったんだよね。
今ではリースはダニエルの貴重な友人かつ恋愛アドバイザーですよ。
いやー、よく頑張った! 偉いぞ、自分!
ダニエルが私の護衛の時に、言葉や仕草でさり気なく『大好き』アピールしつつ、後でリースで反応をチェックするのが日課になって、めっちゃ楽しい。
ダニエルって一匹狼的な雰囲気なのに寂しがり屋で、お酒に弱いのに勧められると嬉しいみたいで、グイグイ飲んでくれちゃうからつい調子に乗って飲ませ過ぎちゃうのよね。しかも絡み酒。
まあ、その絡み方が可愛らしくて、ちょっと笑えるから止められないんだよね。
「エリスお嬢さまは妖精だ」とか「俺の妖精姫だ」とか言って熱く語り出したり、「誰もが欲しがる美しい花だから、害虫駆除が追い付かない」って歯を噛みしめて悔しがったり…… はあー、可愛いなぁ~。
折角なら、もっと嫉妬して独占欲を発揮してくれたらいいのにぃ!
ダニエルからの執着ならいつでもウェルカムですよ。
それにしても、恋愛にすっごい奥手だから、アドバイスしても成果が上がらなくてもどかしい。こっちはダニエルの告白を今か今かと待ってるのにー!
ダニエルが全てを投げうってでも欲しがるくらい、私に対する愛情がどうしようもないって程、限界突破するまで熟すのをじっくり待ちたい気持ちもあるんだけど、のん気にそうも言っていられないからなー。
先に単身脱出して、落ち着いたらダニエルを迎えに来るプランも考えたけど……。
私の可愛いダニエルを一人残していったら、私の護衛なのに逃亡を防げなかったとか難癖つけられて、ワンダー男爵家に本当にwonderな仕打ちをされそうだし。
ほんと、階級社会ってイライラする。
雇用人に理不尽な要求や非道な行いをしても当然だって態度、マジ腐れ外道かと。君主制でも特権階級ありでも構いやしないけど、権力を振りかざして他者を蹴落とす社会性は滅するべきじゃない? ってか、滅しろ。
いっそ、自分の国でも作ろうかな。はぁー……。
まあ、とにかく。形振りなんて構っていたら、心から望むものは手に入らない。
正攻法がダメなら搦め手から攻めなくちゃね。たっぷりと蜜をふくんだ甘い誘惑でダニエルの身も心も溺れさせてあげちゃうんだから。
実践経験は無くとも、私には豊富な知識という味方がいてくれる。
大丈夫、私ならきっと出来る! ファイトー、お~っ!
私は明るい未来の実現のために、ちょっとした日々の努力の積み重ねと、人目につかないように細心の注意を払いながらも、あれやこれやと画策し、粘り強く着々と実行して来た訳ですよ。
その作戦の一つとして、恋愛に腰が引けてるダニエルとの仲を進展させるために、彼の恋を応援して背中を後押しする人物として『リース』をつくり、彼との接触を図ったんだけど……。
私が最初にリースの姿でダニエルに声を掛けた時は、凄い不審者扱いだったなー。
まあ、設定があまりよくなかったのかも。
『リース』は下町で暮らす画家志望の青年で、街で偶然見掛けたダニエルの鍛え上げられた筋肉に惚れ込んで、絵のモデルになって欲しいと熱烈スカウトした。
正体を疑われる余地が微塵もないように、憧れに輝く瞳はキラキラ度合いを通常の三割増しで、どこからどう見ても芸術に身を捧げている青年をこれでもかってほど熱演しましたよ!
――で、気色悪がられたっと。そりゃあもう、見事なドン引き……。
それでもめげずに『何度も会えば好きになる作戦』で、街のあちこちで遭遇するのを繰り返していたら、更に警戒を強められた時には本当に参っちゃった。
ダニエルったら、会う度に顔を顰めるんだもの。渋カッコイイ!
普段は見られない表情が拝めるし、イケメンが青年に追い回されるという構図は、ダニエルの見た目に魅かれて秋波を送ろうとする、身の程知らずのにわかファンへの防波堤の役割を発揮し、さりげなく蹴散らせて、一石二鳥っ!
あーいう人たちって、ほんと分かってない。ダニエルの格好良さは同性さえも虜にするものだって、身を以て示してあげているのに、それで見る目を変えるなんて、そんな者はダニエルの友どころか、知人となることさえ烏滸がましいわっ!
彼の素晴らしさを誰よりよく知る私なら、嫉妬心を抱いても、さすがダニエルだと惚れ直す自信がありますよ。
今までは指を咥えて眺めているしかなかった、ダニエルの周りをうろつく鬱陶しい面々をついでに整理もできるし、時間がかかっても最終的にリースがダニエルの懐に入り込めればいいんだし、今は楽しんだ者勝ちでしょう!
なんて悠長に構えていたら、リースが視界に入るのさえ避けられ出して、もしかして、もしかしなくても、これはちょっとマズイかも……。そう焦っていたら、意図せず不逞の輩に絡まれたところをダニエルに助けられ、チャンス到来!
お礼に一杯奢らせて欲しいと、縋りつく勢いで頼み込み、渋々ながらに頷いてくれたダニエルと、いい雰囲気の三ツ星レストランへ――
行こうとしたのを却下され、彼の行きつけの、この(低評価)酒場へ。
激安だけど、料理の鮮度は悪いし、見た目も味もメシマズで、ろくな飲み物もなければ、周りの酔っ払い達はうるさいし…… なぜにここが行きつけ??
メリットと言えば、店内が狭くてダニエルとの距離が近いってだけじゃん!
あれ? うーんと、つまり…… めっちゃいいお店じゃない!
ただでさえ、ダニエルに構ってもらえてテンション爆上がり中なのに、至近距離で拝むイケメン! 端的に言って、最の高っ! はうぅぅぅっ、かっこいい~。
興奮し過ぎて鼻血が垂れ、やばっ、先に涎が―― あ、ぶなっ! セーフ。
そして私は前のめりでダニエルの話に聞き入り、隙あらば彼の素晴らしさを熱く語って聞かせた。その結果、不審者から変り者扱いになった。なんでだろう……?
それからは少しずつ親しくなっていって、元来世話焼きな性分のダニエルが何かとリースを構ってくれるようになったんだよね。
今ではリースはダニエルの貴重な友人かつ恋愛アドバイザーですよ。
いやー、よく頑張った! 偉いぞ、自分!
ダニエルが私の護衛の時に、言葉や仕草でさり気なく『大好き』アピールしつつ、後でリースで反応をチェックするのが日課になって、めっちゃ楽しい。
ダニエルって一匹狼的な雰囲気なのに寂しがり屋で、お酒に弱いのに勧められると嬉しいみたいで、グイグイ飲んでくれちゃうからつい調子に乗って飲ませ過ぎちゃうのよね。しかも絡み酒。
まあ、その絡み方が可愛らしくて、ちょっと笑えるから止められないんだよね。
「エリスお嬢さまは妖精だ」とか「俺の妖精姫だ」とか言って熱く語り出したり、「誰もが欲しがる美しい花だから、害虫駆除が追い付かない」って歯を噛みしめて悔しがったり…… はあー、可愛いなぁ~。
折角なら、もっと嫉妬して独占欲を発揮してくれたらいいのにぃ!
ダニエルからの執着ならいつでもウェルカムですよ。
それにしても、恋愛にすっごい奥手だから、アドバイスしても成果が上がらなくてもどかしい。こっちはダニエルの告白を今か今かと待ってるのにー!
ダニエルが全てを投げうってでも欲しがるくらい、私に対する愛情がどうしようもないって程、限界突破するまで熟すのをじっくり待ちたい気持ちもあるんだけど、のん気にそうも言っていられないからなー。
先に単身脱出して、落ち着いたらダニエルを迎えに来るプランも考えたけど……。
私の可愛いダニエルを一人残していったら、私の護衛なのに逃亡を防げなかったとか難癖つけられて、ワンダー男爵家に本当にwonderな仕打ちをされそうだし。
ほんと、階級社会ってイライラする。
雇用人に理不尽な要求や非道な行いをしても当然だって態度、マジ腐れ外道かと。君主制でも特権階級ありでも構いやしないけど、権力を振りかざして他者を蹴落とす社会性は滅するべきじゃない? ってか、滅しろ。
いっそ、自分の国でも作ろうかな。はぁー……。
まあ、とにかく。形振りなんて構っていたら、心から望むものは手に入らない。
正攻法がダメなら搦め手から攻めなくちゃね。たっぷりと蜜をふくんだ甘い誘惑でダニエルの身も心も溺れさせてあげちゃうんだから。
実践経験は無くとも、私には豊富な知識という味方がいてくれる。
大丈夫、私ならきっと出来る! ファイトー、お~っ!
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