催眠術

冬生まれ

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「おっ!その本お前も図書室で借りたのか?」
「えっ、、あ、うん。そ、そうだケド……」
「それさぁ俺も前に借りて見た事あるけど、結構面白いよなー!」

笑顔を向けてくる彼に、うん、と返事をしようとした時、クラスメイトが彼の腕を引っ張った。

「おい、夕凪!あんまりソイツに絡むなって……!!」
「そうだよ夕凪くん。朝比奈、くんは今読書中なんだから!」
「へっ……?」

あからさまだった。
僕から引き離そうとしているのが見て分かる。
夕凪くんは、あっという間にズルズルと引っ張られていく。

「悪かったな~朝比奈!」

手を振りながら連れて行かれる彼を見つめながら、僕は眉を顰めた。

〈なにも、無理矢理引き離す事ないだろ……イジメかよっ!〉

内心で悪態を吐きながらも、また本に視線を戻す。

「今に見てろよ……クソ、夕凪くんを絶対……!」

ブツブツと譫言の様に呟きながら僕は一人、執念に燃えていた。

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