催眠術

冬生まれ

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それはさておき。

目の前で椅子に座りながらぼーっとしている彼、夕凪 十夜【ゆうなぎ とおや】を見つめて、僕は浮かれていた。
夕凪くんは、人気者で友達も多く、皆から好かれるムードメーカー的な存在だ。
誰彼構わず絡む彼の性質状、クラスの中では疎外感丸出しの僕にも何の気なしに絡んでくれる良い人だ。
だが、その行為は僕みたいな根暗で陰湿な野郎に“勘違い”を引き起こす。

元々、僕と彼は親しい間柄じゃない。

さっきも言った様に僕は外見が暗いせいか、はたまた性格の問題なのか……。
皆からはよく腫れ物のような扱いを受けている。
目が合えば逸らされたり、近づくものならば避けられる。
そんな奴が少しでも優しくされたらどーなるかなんて分かりきってる事だ。
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