二人の夏

冬生まれ

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学生たちが待ちに待った長い休みにも関わらず、俺と友人は不運にも補習という名目で学校に強制登校していた。蒸し暑い真夏の教室は、クーラーが無いうえに外は無風で窓を開けていても風が入ってくる気配がない。
そんななか、紙の上を走るシャープペンの音が静かにこだまする。

(あー…早く帰りてぇー)

黙っていても汗が吹き出て頭がぼーっとする。偶に下敷きで扇ぐが、一向に涼しくなる事はなかった。早く終わらないか、なんて考えながら友人に視線を向けると友人も暑いのか、俺と同じ行動をとっていた。思わずクスリと笑いが込み上げた。
すると、友人が俺の視線に気付いたのか、こっちを見るとニッと笑い自分の腕時計を指差して『あと少し頑張れ!』と声は発さずに口元だけを動かした。俺は友人から目を逸らして壁に掛けてある時計を見上げる。残り時間も僅かだと知り、友人に親指を立て合図を送った。
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