次世代エンカウント

冬生まれ

文字の大きさ
上 下
9 / 14

しおりを挟む

「でも、今は今だろ?」

目を見開き視線を向ける男に、女はニッと笑った。

「過ぎてしまった過去はどうしようも無いさ。それよりも、今を生きてけって言ってんだよ!」「……」

男は呆然と女を見つめた。女は不意にベンチから立ち上がると、腰に手を宛て、広い空を見上げた。

「どんなに悔いたとしても、お前のした事は許されないかも知れない……だが、今のお前はもう魔王じゃないだ。なら過去を引き摺るよりも金持ちの社長として生きていきゃ良いとアタシは思うぜ?」

振り向き笑う女は続け様に言う。

「それでも後ろめたい気持ちがあるなら、今からでも償っていけば良いんだ!今まで苦しめてきた人達の分も、今度はお前が助けてやるんだ!!そしたらいつかきっと許される時が来るさ!」

その言葉に男は終始ポカンとしていたが、やがて呆れた様に笑った。

「全く、お前という奴は……」

男は女に勇者の面影を重ねた。何度殺されかけて死の淵を彷徨おうとも、ただ只管に追い掛け続けてきた勇者。傷だらけになり、動けなくなりながらも最期の最後まで自分を翻弄した男。そんな勇者に魔王は心の何処かで敵わないと思っていた。それは今の男にとっても同じで、小さな溜息を吐きながらも『それもそうだな』と小さく頷いた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

飲みに誘った後輩は、今僕のベッドの上にいる

ヘロディア
恋愛
会社の後輩の女子と飲みに行った主人公。しかし、彼女は泥酔してしまう。 頼まれて仕方なく家に連れていったのだが、後輩はベッドの上に…

恋人の水着は想像以上に刺激的だった

ヘロディア
恋愛
プールにデートに行くことになった主人公と恋人。 恋人の水着が刺激的すぎた主人公は…

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

夜の公園、誰かが喘いでる

ヘロディア
恋愛
塾の居残りに引っかかった主人公。 しかし、帰り道に近道をしたところ、夜の公園から喘ぎ声が聞こえてきて…

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

彼氏の前でどんどんスカートがめくれていく

ヘロディア
恋愛
初めて彼氏をデートに誘った主人公。衣装もバッチリ、メイクもバッチリとしたところだったが、彼女を屈辱的な出来事が襲うー

処理中です...