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しおりを挟む「はぁ……」
近くの公園へとやって来た女は、ベンチに座りボーッと空を眺めていた。
「まさか、あの魔王とまた出会うなんてなぁ」
昔の記憶を思い出す。
自身が生まれ育った故郷をアイツに潰されたのがそもそもの始まりだった。家族や友達、近所に住む優しい人達が皆アイツに殺された。
『アイツだけは絶対に許さないッッ!!』
独りになったオレが、村を出て初めて旅をするキッカケとなった。アイツを探す為に身体を鍛え、似た境遇の仲間を作り、ありったけの武器を掻き集めて必ずアイツを倒すと誓い、必死に追い掛けた。襲ってくるアイツの手下を倒しながら、何度も何度も血を流し、ボロボロになりながらも歩んだ末、漸く見つけた時のアイツは色んな罪を背負っていた。それでも尚、行いを改めないアイツの態度にオレは容赦しなかった。互いに一歩も譲らぬ戦いは、自分らの身体を極限まで追い込み、最後の力を振り絞って漸くアイツを倒す事が出来た。
『嗚呼、これでやっと平穏に暮らせる……』
そう思ったのも束の間、アイツの腕がオレの心臓を貫いた。
「ハハ、ハッ……勇者よ、貴様も道連れだ、ざまあみろッッ!!」
あの時のアイツの顔は一生忘れない。思い出しただけでも腹が立つ。
先程の男の態度を思い出し、一層イライラが募ると、女の口からは自然と愚痴が零れた。
「だいたい、なんであんな極悪非道な奴がイケメンで大手企業の若社長に生まれ変わってんだよ!こちとら生まれてこのかた恋愛経験ゼロなうえ、貧乏OLで婚期逃す勢いだってのにさっ!!」
これって何の因果だろうか。女が落胆して溜息を零すと、背後から声を掛けられた。
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