電車でみる夢

22

咄嗟に光の頭に手をやり、また引き寄せた。
不思議そうに名前を呼ばれたが、かまわず話を遮ってただ眠るよう告げる。
光は不服そうだったが諦めてまた頭を肩に乗せた。

そのまま眠りについてしまえばいい。

うつらうつらとしている光を見つめながらそう願うと、小さな声でそれは聞こえた。

「また、怖い夢みなきゃいいなぁ…」

その言葉にある事を思い出す。

そう、いつか光が言っていた。

よく怖い夢を見た時、いつも暗闇の中で目を覚ましていたと。
誰もいない暗闇の世界が怖くて、それが原因で暗闇で寝ることが出来なかったのだと。

(昔から怖がりだったもんな……コイツ)

目を瞑る光の頭を撫でながら、安心させるように告げる。

「大丈夫だから…安心して寝ろ。着く頃になったら起こしてやる」

その言葉に安心したのか、光は頷き体の力を抜いて寄り掛かってくる。
瞼を閉じた光は俺に時間を訊ねた。
俺は少し考えてから適当な時間を口にすると、光は納得して眠りについた。