電車でみる夢

21

おもわず手を伸ばして光の頭を引き寄せる。
それから俺の肩にそっと頭を乗せてやると、その行動に驚きを隠せない顔で光は此方を見つめる。

「肩貸してやる。お前は黙って寝てろ……」

それだけ告げると暫くして光は素直に頭を乗せた。
それから少し沈黙した後、光が唐突に俺の名前を呼んだ。
なんだと言葉を返すと、光は夢の話をし始めた。
俺は話半分で聞きながら壊れたスマホをなんとか起動させようといじくっていたがスマホは一向に動かないままだった。
そんななか、光の口から放たれた電車事故の言葉におもわず指がピタリと止まる。
光がリアルだったと俺が先ほどまで目の当たりにした光景と合致している────とても奇妙な夢の内容を語る。

「その中にお前もいたんだ」

そう言われて顔が歪んだ。
光は顔をあげ、俺の様子を見つめながら続きを話す。
やはり夢の中の俺は電車事故時の俺と酷似していた。

光がみたという夢を俺もみていた……ということは、つまり────。