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しおりを挟む「こ、こ…は……?」
口に出した言葉は何故か途切れ途切れにしか発音せず、体も自由に動かすことが出来なかった。
何がどうなっているのか……。
とりあえず眼だけを動かして辺りを見渡すと、ぼやけた視界には倒れている人達が映り込む。
そこからはうめき声やら金切り声にも似た悲鳴が聞こえていた。
中には『苦しい』『助けて』『痛い』『死にたくない』と救いを求める者までいる。
(事故でも、起きたのか……?)
ぼんやりとする思考の中、目の前にいた人物と目が合った。
それは腐れ縁の彼だった。
彼は苦しそうに呼吸を繰り返しながら俺を見つめていた。
怪我をしたのか、口からは血を流しており、その口を動かしながらボソリボソリと何かを呟いた。
それは俺の名前だった気もする。
だけど、段々と意識が遠退き始めていた俺にはその言葉を理解する事が出来なかった。
彼は顔を歪めながら必死に体を動かし、手を此方に伸ばしてきた。
そんな彼を見つめるだけで精一杯だった俺は、彼の手を掴む代わりに彼の名前を囁いた。
彼は手を伸ばしながら必死に何かを伝えていたが、俺はそのまま意識を手放した。
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