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しおりを挟むその瞬間、ふと夢の情景が蘇る。
夕焼け色に染まる教室。
目の前のオバケと重なる様に。
突然、朧が現れた。
「君が好きだと言ってくれた。それだけで十分だよ」
此方に微笑む朧に俺は呆然とする。
「……お、ぼろッ?」「気持ち悪かったよね?ゴメンね、新生くん」
眉を下げて申し訳なさそうに謝る朧に、俺の胸はズキリと痛んだ。
「いや、違う…アレはッ「もう良いんだ。最後に告白出来ただけでも、僕は幸せだったよ」
俺の言葉は途中で遮ぎられ、机に座りながらプラプラと動かす足を止めた朧は『ありがとう』と笑って告げた。そんな朧に手を伸ばすが、風で揺らめくカーテンが朧を隠すと、そのまま見えなくしてしまった。
「───朧ッッ!!」
気付くと朧は何処にもいなかった。目の前には真っ暗な教室がただただ広がっており、何事も無かったかの様に静まり返っている。
「ッ……!?」
そこで我に返った俺は、いつの間にか姿を消したオバケを探した。
「何処に行ったんだ?なぁ…出てこいよ!」
声を掛けてみるものの返事は無く、それから何時まで経ってもオバケは姿を現さなかった。
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