7 / 9
8
しおりを挟む
眩い光が差し込む中、漸く目蓋が開けられた。ここは何処だろう……。目だけを動かし辺りを見ると、宙にぶら下がり水滴を一定のリズムで垂らす点滴や心電図を映す機械が僕の隣で正常に動いていた。此処は病院だろうか?ボーッとする頭で考えていたら、何かが視界の隅で蠢いた。視線を其方に移すと、それはゆっくりとその姿を表した。
「夢、叶…?」
名前を呼ぶと、彼は目を見開き固まった。それから手を伸ばして、震える手で優しく僕の顔を撫でる。
「この、、馬鹿やろぉ……」
彼の口から漏れた小言は少し掠れて弱々しく、細められた眼は赤みを帯びて今にも泣きだしそうだった。僕がまた名を呼ぶと、僕の胸元に頭を擦り付けて点滴が打たれた方の手を軽く握ぎられた。
「夢斗、ゴメンね……。泣かないで?」
そう呟くと、彼は鼻を啜りながら僕の手をより一層強く握り締めた。
「夢、叶…?」
名前を呼ぶと、彼は目を見開き固まった。それから手を伸ばして、震える手で優しく僕の顔を撫でる。
「この、、馬鹿やろぉ……」
彼の口から漏れた小言は少し掠れて弱々しく、細められた眼は赤みを帯びて今にも泣きだしそうだった。僕がまた名を呼ぶと、僕の胸元に頭を擦り付けて点滴が打たれた方の手を軽く握ぎられた。
「夢斗、ゴメンね……。泣かないで?」
そう呟くと、彼は鼻を啜りながら僕の手をより一層強く握り締めた。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説

『女になる』
新帯 繭
青春
わたしはLGBTQ+の女子……と名乗りたいけれど、わたしは周囲から見れば「男子」。生きていくためには「男」にならないといけない。……親の望む「ぼく」にならなくてはならない。だけど、本当にそれでいいのだろうか?いつか過ちとなるまでの物語。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤマネ姫の幸福論
ふくろう
青春
秋の長野行き中央本線、特急あずさの座席に座る一組の男女。
一見、恋人同士に見えるが、これが最初で最後の二人の旅行になるかもしれない。
彼らは霧ヶ峰高原に、「森の妖精」と呼ばれる小動物の棲み家を訪ね、夢のように楽しい二日間を過ごす。
しかし、運命の時は、刻一刻と迫っていた。
主人公達の恋の行方、霧ヶ峰の生き物のお話に添えて、世界中で愛されてきた好編「幸福論」を交え、お読みいただける方に、少しでも清々しく、優しい気持ちになっていただけますよう、精一杯、書いてます!
どうぞ、よろしくお願いいたします!
深海の星空
柴野日向
青春
「あなたが、少しでも笑っていてくれるなら、ぼくはもう、何もいらないんです」
ひねくれた孤高の少女と、真面目すぎる新聞配達の少年は、深い海の底で出会った。誰にも言えない秘密を抱え、塞がらない傷を見せ合い、ただ求めるのは、歩む深海に差し込む光。
少しずつ縮まる距離の中、明らかになるのは、少女の最も嫌う人間と、望まれなかった少年との残酷な繋がり。
やがて立ち塞がる絶望に、一縷の希望を見出す二人は、再び手を繋ぐことができるのか。
世界の片隅で、小さな幸福へと手を伸ばす、少年少女の物語。
わたしの生きる道
hosimure
青春
高校二年にして、すでにわたしの進路は決めていた。
特技の編み物を活かして、生活していこうと思っていた。
だけど…どこか納得いかない自分がいる。
本当に特技を活かして生きていくのが、わたしの人生なんだろうか?

放課後はネットで待ち合わせ
星名柚花
青春
【カクヨム×魔法のiらんどコンテスト特別賞受賞作】
高校入学を控えた前日、山科萌はいつものメンバーとオンラインゲームで遊んでいた。
何気なく「明日入学式だ」と言ったことから、ゲーム友達「ルビー」も同じ高校に通うことが判明。
翌日、萌はルビーと出会う。
女性アバターを使っていたルビーの正体は、ゲーム好きな美少年だった。
彼から女子避けのために「彼女のふりをしてほしい」と頼まれた萌。
初めはただのフリだったけれど、だんだん彼のことが気になるようになり…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる